韓国競泳界のすそ野の広さは日本の35分の1程度しかない。日本の登録選手(小中高・成人)は合計12万4996人(2015年、日本水泳連盟)だが、韓国は同年で3597人だ。3500人の中から朴泰桓が出たと考えると、日本では朴泰桓のような選手が35人出てくる可能性があることを意味する。日本の競泳代表はリオ五輪で金2・銀2・銅5と合計9つのメダルを獲得した。
圧倒的に不足している正式規格のプールや、どんぶり勘定で運営されているクラブのシステムも問題だ。競泳が生涯スポーツとして定着している日本やオーストラリアでは学校にプールがあるが、韓国では登録されたエリート選手でさえ練習用プールを見つけるのが難しい。ある水泳クラブの指導者は「プールは収入のため会員にだけ場所を提供し、選手たちには貸してくれない」と言った。韓国代表にならなければ泰陵選手村(ナショナル・トレーニング・センター)や鎮川選手村のプールは利用できない。朴泰桓ブーム以降、雨後の竹の子式に増えた民間水泳クラブも問題だ。「指導力が裏付けられていない指導者が規模ばかり大きくしている」という声も聞こえてくる。こうした状況で競泳の有望選手たちは大学入学やプロ入りがしやすい球技に転向してしまう。
韓国の競泳全体を管理しなければならない大韓水泳連盟も、自らの役割をきちんと果たせていない。同連盟は財政悪化や執行部の不正により今年3月、大韓体育会の管理団体になった。
このころ、現職役員や元役員ら5人が韓国代表選抜などを口実にわいろを受け取っていたとして起訴されている。