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【首都スポ】

ラグビー 筑波大4年・山沢拓也が飛び級参戦 史上初の大学生トップリーガー

2016年8月26日 紙面から

ランも光る! 山沢(左)はプレシーズンマッチのNEC戦でフル出場、後半は鮮やかな独走トライも決めた=19日、太田市のパナソニックグラウンドで

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 大学生が頂上リーグに参戦だ! 26日に開幕するラグビートップリーグ。03年の設立から14年目にして、初めての大学生トップリーガーが誕生する。筑波大4年に在学しながらパナソニックと契約したSO山沢拓也(21)だ。高校3年でエディー・ジョーンズHC率いる日本代表の合宿に招集された才能は、大学のステージに収まらず、成長の機会を求めて日本最強チームに飛び込んだ。記念すべき大学生トップリーガー第1号に迫った。 (文・写真=大友信彦)

 水を得た魚とはこのことだ。8月19日に群馬・太田で行われたトップリーグ(TL)開幕前のオープン戦。パナソニックのSOで先発した山沢拓也は、NECを相手に軽快なハンドリングと思い切ったランで次々にディフェンスを突破。気温35度の中で80分フル出場し、4連覇を目指すパナソニックを43−17の完勝に導いたのだ。

 「自分ではあまりうまくできませんでした。FWへのコールが遅れて、迷わせてしまったときがあったと思う。だけど、試合中もバーンズが『今のはこうした方がいい』とアドバイスしてくれるので勉強になります」

 浅黒い肌に目がギラリと光る。山沢は筑波大4年生だが、今季は大学ではプレーせず、パナソニックで選手登録。リーグ創設14年目にして初めての『大学生トップリーガー』となった。

 「高いレベルでラグビーをしたいという気持ちです」

 異例の決断の理由を山沢はそう言った。

 「試合はもちろんですが、一回一回の練習でも学ぶことがすごく多いですから」

 才能は折り紙付きだ。高3の6月、日本代表のエディー・ジョーンズHCに抜てきされ、17歳にしてジュニア・ジャパンの一員としてトンガ代表との国際試合に出場。筑波大に進むと入学直後の東日本大学セブンズの優勝に貢献し、大学1年のシーズンはSOのレギュラーを獲得。柔らかいパスとキックでゲームを組み立てながら、絶妙のスペース感覚でトライも量産し、筑波大の大学選手権4強進出を支えた。

 しかし、シーズン終了後に参加したジュニアジャパンのオーストラリア遠征で左膝を負傷。大学2年のシーズンは3試合に出場したが再負傷。大学3年は出場ゼロに終わった。

 だが、このケガ続きの時間が、新たなチャレンジのきっかけを作った。負傷後、山沢はリハビリの拠点として熊谷市の実家に近いパナソニックの施設を使わせてもらった。パナソニックにはワールドクラスの選手も多く、同じSOにはオーストラリア代表51キャップを持ち、13〜14年度トップリーグ2年連続MVPのSOバーンズも在籍。多くの学びのチャンスがあった。

 「この環境でもっとプレーしたい。成長したいと思いました」

 日本ラグビー協会では、国内での二重登録は認めていない。Jリーグでは大学生選手も存在するが、トップリーグでプレーするなら、筑波大では登録できない。だが、昨年のW杯で南アフリカを破った日本代表の活躍が山沢を突き動かした。高3のときから世界と戦ってきた山沢にとって、19年のW杯を考えれば、遠回りはできない。筑波大の古川拓生監督に直訴し、在学したままのトップリーグ登録を勝ち取った。

 「筑波大が許してくれたから挑戦できる。監督にもチームメートにも感謝しています」

 大学で残した単位は卒論のみ。すでにラグビーに集中できる生活は始まっている。

 「練習だけでなく、体のケアなどラグビー中心に生活できるのがうれしいです」

 柔らかい目に熱い光が宿った。きょう26日午後7時30分、秩父宮ラグビー場。パナソニック対ヤマハ発動機の開幕戦で、大学生トップリーガーのチャレンジが始まる。

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