世界遺産 ポンペイの壁画展
2016年7月23日〜9月25日
名古屋市博物館
中日春秋(朝刊コラム)中日春秋イタリア中部の小さな町アマトリーチェの人々は、この地の名を冠したパスタ料理「アマトリチャーナ」に大変な誇りを持っている ▼イタリアの有名シェフが、本来は決して加えぬニンニクを隠し味として使ったところ、「伝統の味だけでなく、歴史を変える行為だ」と町が正式に抗議したほどで、町のホームページには「公式レシピ」が、ちゃんと紹介されている ▼地元産のグアンチャーレ(豚ほほ肉の塩漬け)を刻み、トウガラシと強火で炒め、トマトを加えて塩で味を調えたら、さっと火を通す。ゆでたスパゲティにおろしたチーズをたっぷり加え、ソースと合わせれば、出来上がり。パスタと肉の割合が重さにして四対一というのが「伝統的にして聖なる比率」だそうだ ▼この料理には一般にベーコンが使われるが、「グアンチャーレを使わなくてはアマトリチャーナとはいえず、それでこそ比類なき妙味、甘味が生まれる」と書き、あくまで地元産の素材にこだわる。何とも手前みそにも思えるが、それが郷土愛というものだろう ▼そんな愛すべき町を地震が襲い、多くの命が失われてしまった。「町が消えてしまった」「いつ再建できるかも分からない」との声が現地から伝えられる。同じ地震の国の民だから、その声が胸の奥に刺さる ▼熱々のアマトリチャーナを届けることはかなわないが、熱い何かを届けたくなる。 PR情報 |
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