民進党代表選 路線問題の議論尽くせ
民進党代表選は蓮舫代表代行に続き、前原誠司元外相が出馬を表明した。一時は蓮舫氏が無投票で選ばれるとの観測もあったが、投票による代表選出が確定した。同党にとって、好ましいことだろう。
民主党と維新の党が合流して民進党は今春発足したが、党の針路をめぐる議論は必ずしも十分ではなかった。野党共闘など対立を抱える路線問題について正面から取り上げ、議論を尽くすよう求めたい。
岡田克也代表はすでに不出馬を表明している。民主党代表の経験を持つ前原氏、民主党政権で「事業仕分け」を担当した蓮舫氏ともに知名度は高い。現執行部の路線に近い蓮舫氏と、距離を置く前原氏が競う構図で、他にも出馬を探る動きがある。
参院選敗北を受けての代表選だけに、党内で議論を急ぐべき課題は多い。とりわけ、重要なのは野党共闘をめぐる対応である。
参院選で民進党は共産党を含む選挙協力を進め「1人区」で一定の成果をあげた。だが、党内には保守票が離反する懸念も根強い。次の衆院選は新代表の下で行われる公算が大きいため、どう対応するかを代表候補は具体的に説明する必要がある。
蓮舫氏は共産党との政権構想を「綱領や政策が大きく違う政党と一緒の政権はあり得ない」と否定する一方で、選挙協力継続には含みを持たせている。衆院選は政権選択の選挙だけに、政権構想と選挙協力を切り離すような論法では説得力を欠く。説明不足のまま自らの路線を「蓮舫路線」と称するようではごまかしと取られかねない。
前原氏は参院選と衆院選は区別すべきだとし、衆院選でも他の野党と共闘するためには基本政策の一致が必要だと指摘した。ただ、政策協議の進めかたや、共産党との協力についての基本姿勢ははっきりしなかった。これでは両氏の路線が具体的にどう違うのかが判然としない。
政策面では両氏とも経済、社会保障政策の重視姿勢を示している。
参院選で民進党は「分配と成長の両立」を掲げたが、安倍内閣が掲げる「成長と分配の好循環」との違いをわかりやすく有権者に説明できなかった。受益と負担の責任ある将来像を競い合うべきだろう。
憲法改正や集団的自衛権の行使など、理念や基本政策に関わる部分ももちろん軽視できない。民主党時代からあいまいな部分を、党首選びの場で放置してはなるまい。
対立を封印したまま代表を選んでもすぐ食い違いが生じ、党内のごたごたが再燃するだけだ。15日の投票に向けて開かれた場で徹底的に議論し、結論には従う。そんなルールを確立しなければならない。