だが、大統領が本当に言いたかったことは、この後に続く言葉だった。

 「ところが・・・」。大統領は、一転して厳しい口調になった。

 「いつからだろうか。我々の内部で、韓国を否定的に描写する誤った風潮が広がっている」

韓国を卑下する新造語が拡散

 さらに演説はこう続いた。

 「我々の偉大な現代史を否定し、世界が羨む我が国を生活することがつらい所だと卑下する新造語が拡散しているのだ」

 大統領がこの日強調したかったのは、世界で高く評価されている韓国の発展の歴史を否定する声が国内で広がっていることはとんでもないということだったのだ。

 では、ここで大統領が語った「新造語」とは何のことなのか? 演説は複数形になっているが、具体的には語っていない。

 翌日の韓国メディアは、この「新造語は何だ?」という記事があちこちで見られた。

 大統領が指摘したとおり、韓国のネットでは、このところ、自国を貶めるような言葉が乱舞している。

 もちろん、ビジネスマンの会話などでは全く登場しないし、一般的に使われるとまでは言えないが、ネットの書き込みでは、よく見かけることも事実だ。

 まず出てきたのが「ヘル朝鮮(hell chosun)」という言葉だ。文字通り、地獄の朝鮮ということだ。

 人気ゲームで架空の国として出てきたのが始まりという説もあるが、ネット上ではたびたび目にする。

 大統領の言葉通り、「我が国での生活が辛いことだと卑下する」意味で使われることが多い。