カメラが発見されたのは、参院選公示翌日の6月23日。大分県別府市の別府地区労働福祉会館で、近くのNPO職員が敷地の端の斜面に背丈ほどに茂った雑草を刈ったところ、木の幹に結束バンドでくくりつけられた縦15センチ、横10センチのカメラに気づいた。職員は「いいカメラやな。会館が設置した泥棒よけのセンサーだろう」と思い、その時は報告しなかった。
ところが翌24日、刈り残しがないか見回った会館の関係者がこのカメラを発見。同じ斜面のブロック片にくくりつけられたもう1台も見つけ、「何だこれは」と騒ぎになった。
会館側がカメラ内蔵のSDカードをパソコンで再生してみると、別府署員がカメラを設置したり、署内で電池を入れ替えたりする姿が映っていた。
連合関係者が署に通報すると、すぐに捜査員が現場検証をしてカメラを撤去。同26日には署幹部が訪れた。しどろもどろで謝罪する署の刑事官に、SDカードから印刷した画像を見せて「これはあなたか?」と尋ねると、刑事官は「私です」と認めたという。
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大分県警によると、カメラを仕掛けた署の刑事課員2人は、18日午後7時台に斜面へ最初に侵入。午後10時台に2回侵入してカメラ2台を仕掛けた。3回目の時には既に「不法侵入だ」と認識していたという。だがその後も、19日午後10時台▽20日午後10時台▽21日午後9時台--に侵入し、カメラの記憶媒体のSDカードを交換した。
カメラは2台とも草むらの陰。さらに両面テープで草やコケを貼って見つかりにくく細工されていたが、偶然の草刈りであっさり露見した。【西嶋正法】