大手の実業団チームや、市・郡などに所属するエリート選手たちは、通常4000万-5000万ウォン(約360万-450万円)の年俸がもらえる。実績のある選手の中には、種目によっては数億ウォン(数千万円)という巨額の年俸が与えられる選手もいる。その彼らが目指すのは毎年韓国国内で開催される全国体育大会などだ。ここで良い結果を出せば、それだけで数千万ウォン(数百万円)の報奨金がもらえるからだ。また全国の自治体などからスカウトされチームを移籍すれば、多い場合は数億ウォンの契約金がやりとりされるという。そのため韓国の陸上選手たちにとって韓国代表として国際大会に出場し、結果を残したいという意識は比較的薄く、そのため記録も出ない。負傷のリスクを冒してまで厳しい練習に取り組み、記録にチャレンジする必要がないからだ。ちなみにマラソンの韓国記録は2000年の東京マラソンで李鳳柱氏が出した2時間7分20秒だが、この記録は16年にわたり破られていない。
アフリカの選手たちの間からも「韓国は陸上競技の天国」という声が聞かれる。韓国のマラソン大会などにもアフリカの選手たちはよく出場するが、彼らとたびたび話をするというある陸上関係者は「アフリカの選手たちはよく『韓国に行きたい』と語り合っている。それは死ぬほどトレーニングしなくても多くの金を稼げるからだ」と伝えた。
記録の向上に向け、全国体育大会などでは新記録を出した選手に賞が与えられるが、これもさほど効果はない。マラソンのあるコーチは「破れる可能性がほぼない韓国記録を破るために巨額の投資をするよりも、報奨の基準を手が届くレベルにした方が良いだろう」と語る。
また韓国の陸上競技選手はおよそ600人しかいないが、その少ない選手たちをめぐって関係者間の派閥争いがあることから、選手たちはまともな競争さえできないとの指摘もある。上記の陸上関係者は「日本のように10年後を見据えて長期的な投資をしなければ効果は出ない」「今のようなその場しのぎの反省や対策では、今後も国際的に恥をかくだけだ」などと指摘した。