きょう読者と一緒に考えてみようと思うイシューは、筆者としては以前から考えを繰り返してきたが依然として迷いがあるテーマだ。何よりも冷戦時代の我々の経験が依然として押さえつけているだけでなく、筆者が今日話そうとする結論も一つの折衷案にすぎないのではという感じがあるからだ。中年以上の読者が記憶しているように、我々はは過去の発展国家時代に安保と経済成長という目標の下、民主主義を保留して生きてきた。北朝鮮との体制競争と安保問題の中で自由と人権は保留されたのが民主化以前の我々の集団経験だ。このような記憶と感情のため、民主主義と安保論理のジレンマという非常に古典的な論議が我々には時々きまり悪く感じられてきたともいえる(古代ギリシャ都市国家のペロポネソス戦争史を書いたトゥキディデスも、市民が支配する民主主義が機密性・敏捷性を要求する安保政策とどのように調和を生み出すかを悩んだほどイシューは民主主義の古典的な争点だ)。
しかしこの数週間、THAAD配備をめぐる目まぐるしい論争と対立を眺めながら、民主主義・国家安保・党派政治の間で絡んだ糸をこれ以上放置しておくことはできなくなった。まず民主主義優先論がある。THAAD砲台配備決定に先立ち、国会および地域住民と適切かつ公開的な議論をしなかったという民主主義優先論者の批判は、安保政策の主要細部事項もすべて民主的に決定されるべきだというアテネ民主主義原理を受け継いでいる。この人たちは透明で公開的な決定が我々の結束をもたらし、それこそが安保の基盤だという論理を提起する。
一方、安保論者はTHAADが北朝鮮の核・ミサイル脅威から我々を守る不可欠な選択であるうえ、米国・中国・日本・ロシアの間で絡む複雑な国際政治を考慮する場合、THAAD配備決定は早期に効率的にするのが避けられないと考える。この主張には、THAAD配備のような技術的かつ軍事的なイシューについては手続きや透明性を根幹とする民主主義原理が優先されにくいという暗黙的な前提がある。
民主主義と安保論理の衝突という古典的なジレンマの前で、政界はみすぼらしい現実を表している。与野党はこのジレンマに対する解決法より、党派争いのテコとしてのみこの事態を眺める。野党「共に民主党」は一方でTHAAD配備決定の混乱を招いた政府を辛らつに批判しているが、自らはTHAAD配備に対する賛否の立場を決められず時間を送っている。与党セヌリ党が星州(ソンジュ)地域の怒った民心と北朝鮮の核脅威の前で国論団結を強調する朴槿恵(パク・クネ)大統領の間でどうすることもできず挟まれている状況は、何も新しいことではない。THAAD論争が浮上すると、安哲秀(アン・チョルス)前代表はすぐに国民投票を提案したが、これに対する世論の反響は大きくなかった(市民は恐らくTHAADのような論争的な事案はもう少し慎重に扱いながら、政界が何か妥協の基盤を固めることを期待したのではないだろうか)。別の言い方をすれば、与野党は安保政策で透明性と手続きを要求する民主主義論者と機密性・迅速性を強調する政府の間で調整役をするより、自ら委縮への道を歩いているのだ。
【中央時評】「THAAD、民主主義と安保のジレンマ」(2)
しかしこの数週間、THAAD配備をめぐる目まぐるしい論争と対立を眺めながら、民主主義・国家安保・党派政治の間で絡んだ糸をこれ以上放置しておくことはできなくなった。まず民主主義優先論がある。THAAD砲台配備決定に先立ち、国会および地域住民と適切かつ公開的な議論をしなかったという民主主義優先論者の批判は、安保政策の主要細部事項もすべて民主的に決定されるべきだというアテネ民主主義原理を受け継いでいる。この人たちは透明で公開的な決定が我々の結束をもたらし、それこそが安保の基盤だという論理を提起する。
一方、安保論者はTHAADが北朝鮮の核・ミサイル脅威から我々を守る不可欠な選択であるうえ、米国・中国・日本・ロシアの間で絡む複雑な国際政治を考慮する場合、THAAD配備決定は早期に効率的にするのが避けられないと考える。この主張には、THAAD配備のような技術的かつ軍事的なイシューについては手続きや透明性を根幹とする民主主義原理が優先されにくいという暗黙的な前提がある。
民主主義と安保論理の衝突という古典的なジレンマの前で、政界はみすぼらしい現実を表している。与野党はこのジレンマに対する解決法より、党派争いのテコとしてのみこの事態を眺める。野党「共に民主党」は一方でTHAAD配備決定の混乱を招いた政府を辛らつに批判しているが、自らはTHAAD配備に対する賛否の立場を決められず時間を送っている。与党セヌリ党が星州(ソンジュ)地域の怒った民心と北朝鮮の核脅威の前で国論団結を強調する朴槿恵(パク・クネ)大統領の間でどうすることもできず挟まれている状況は、何も新しいことではない。THAAD論争が浮上すると、安哲秀(アン・チョルス)前代表はすぐに国民投票を提案したが、これに対する世論の反響は大きくなかった(市民は恐らくTHAADのような論争的な事案はもう少し慎重に扱いながら、政界が何か妥協の基盤を固めることを期待したのではないだろうか)。別の言い方をすれば、与野党は安保政策で透明性と手続きを要求する民主主義論者と機密性・迅速性を強調する政府の間で調整役をするより、自ら委縮への道を歩いているのだ。
【中央時評】「THAAD、民主主義と安保のジレンマ」(2)