超高収益&超秘密主義の世界的「謎」企業・ファナック、突然業績悪化で捨て身の変身!
2015国際ロボット展でのファナックのブース(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
主要上場企業の2016年4~6月期決算は減収・減益が鮮明になった。急激な円高の進行が輸出企業を直撃し、新興国の景気停滞が影を落とした。
ファナックには中国経済の減速という逆風が吹きつけた。17年3月期第1四半期(4~6月期)の連結決算は惨敗だった。売上高は前年同期比35%減の1275億円、営業利益は43%減の419億円、純利益は40%減の302億円と大きく落ち込んだ。
部門別売上高はファクトリー・オートメーション(FA)部門が前年同期比22%減の407億円、ロボット部門が7%減の421億円、ロボマシン部門が67%減の263億円、サービス部門が6%減の185億円。受注高は22%減の1408億円にとどまった。
FA部門は工作機械の頭脳にあたるNC(数値制御)装置が低迷した。ロボット部門は自動車向けの多関節ロボットが主力。欧米は設備投資の谷間となったが中国が好調で、国内も自動車産業向けが堅調に推移したため落ち込みは小幅だった。
ロボマシン部門の振幅が最も大きかった。小型マニシングセンター(切削加工機)「ロボドリル」は、スマートフォン(スマホ)向けの需要が激減した。ロボドリルはスマホ時代に急成長したが、スマホ需要の変動の影響をモロに受ける。ロボマシンの売り上げの9割は中国などアジア向けだ。
地域別売上高を見ると、中国を主力とするアジアが前年同期の1064億円から490億円へと54%減った。
17年3月期(通期)の連結業績予想は、第1四半期の決算がさんざんだったのに上方修正した。1173億円(前年比46%減)とみていた営業利益を1341億円(同38%減)に引き上げた。中国でNC装置の一時的需要が発生したことが理由だ。しかし、この予想が妥当かどうかは、第2四半期(7~9月期)以降の数字をみるまで判断できない。
通期の売上高は18%減の5088億円、純利益は35%減の1033億円を見込む。15年3月期は売上高7297億円、営業利益2978億円、純利益2075億円を上げていた。しかし、中国経済が大きく減速しており、業績が好転する兆しは今のところ見えてこない。
失速で世襲断念
ファナックは工作機械の頭脳部分のNC装置のシェアで世界トップであることを武器に、日本一の高収益を誇ってきた。売上高営業利益率は常時40%以上を叩き出していた。ところが、16年4~6月期のそれは32.8%。それでも「営業利益率15%以上」というのが世界の超優良企業の条件だから、ファナックはそれをはるかに上回っているわけだ。それでも、かつての高収益体質に陰りが出ていることは間違いない。