イタリア中部地震の大惨事から見る「耐震概念のない場所」での中規模地震の意味
地震で破壊されたイタリア中部アマトリーチェの街
イタリア中部で、ノルチャという場所が震源のマグニチュード 6.2の地震が発生しました。
日本などの感覚でいえば、マグニチュード 6.2程度の地震というのは非常にありふれていますので、第一報を聞いた時にも、それほどの被害はないのではと思っていましたが、時間が経つにつれて、とてつもない大災害となっていることを知りました。8月25日午前の時点で 150名以上の方が死亡したことが確認され、まだ、多くの人々が行方不明となっています。
下は、最も被害の大きかった観光地でもあるアマトリーチェの街の地震前と地震後の光景です。
アマトリーチェの地震前と地震後
・Italy earthquake: Before and after images show destruction
石造りの素朴な街並みが壊滅的に崩壊したことがわかります。
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現地はいまだに救助活動が続いていて、どのくらいの人が倒壊した家屋の下にいるのか把握できていないようですが、アマトリーチェの街の8月は、観光地としては、毎年3万人以上の人々が訪れる場所でもあり、観光客などの被害も想定されるかもしれません。
まだ多くの人々が建物の下敷きに(アマトリーチェ)
血を流しながら携帯を手にする修道女(アマトリーチェ)
・CBC
今回の地震の震源
・CBC
被害の全貌はまだわかっていないですが、それにしても、この規模の地震の被害がこれほどまでのものとは。
たとえば、8月25火までの1カ月間にの全世界でのマグニチュード 4.5以上の地震だけでも、下のように 400回以上起きています。
・USGS
その中のマグニチュード 6以上となりますと、頻繁とはいえないものの、下のように 10回近く起きていて、この規模の地震が特別珍しいものもではないということがわかります。
2016年8月のマグニチュード6以上の地震
08月24日 M6.8 ミャンマー
08月23日 M6.0 インドネシア
08月21日 M6.4 グルジア(ジョージア)
08月20日 M6.0 宮古島
08月19日 M7.4 グルジア(ジョージア)
08月12日 M7.2 ニューカレドニア
08月04日 M6.3 硫黄島
08月04日 M6.2 アルゼンチン
08月01日 M6.1 インド洋
あくまで一般論ですが、地震の多い国や地域では、マグニチュード 6.2クラスの地震では、震源の深さなどにもよりますけれど、大抵は、少なくとも今回のイタリアの地震のような大きな被害(人的被害、建物の損傷)が出るということはないのが普通です。
しかし、地震が「あまり起きない」、あるいは「ほとんど起きない」国や地域に地震が発生すると、これほどの大きな惨事になるということが今回の例から見てとれます。
そして、現実としてヨーロッパの大部分と、あるいは、西海岸を除いたアメリカの多くの地域は、ふだんは「ほとんど」地震が発生しません。
それらの多くの国や地域には、「耐震」という概念が建物にないために、マグニチュード6程度の地震が発生した場合でも、今回のイタリアの都市と同じように、大災害となる可能性があるということかもしれません。
そして、今、地震がほとんどない場所での地震の発生が、たとえば、アメリカでも、ヨーロッパやオーストラリアなどでも増えてきています。
それは下のような最近の記事でも取り上げています。
・ほぼ地震の起こらないスウェーデンで「過去100年で最大」のマグニチュード4.6の地震が発生 (2016/03/22)
・ヨーロッパのほぼ地震のない地域で相次ぐ地震:フランスでM5.2の地震、オーストリアではM4.4の地震 (2016/04/29)
・極めて地震の少ないオーストラリアでマグニチュード6.1の地震 (2016/05/21)
・韓国で観測史上36年ぶりの規模となるマグニチュード5の地震が発生。その前日には鹿児島県のトカラ列島で謎の群発地震 (2016/07/06)
・オーストラリアの異変 : 内陸部で30日間で30回以上の群発地震が続いている (2016/08/02)
最近の地球は、気温や天候も変化してきていますが、地震や火山の噴火についても、その様子がやはり変化してきているのかもしれません。