2016年08月25日
【仕事術】『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』宇都出雅巳
仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、1つ前の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった仕事術本。普段は勉強本でお馴染みの宇都出雅巳さんなのですが、本書では脳のメカニズムによる「仕事のミス」の仕組みと、その対策を明らかにしてくださっています。
アマゾンの内容紹介から。
脳のメモ帳「ワーキングメモリ」が集中力のカギを握る!ド忘れ、不注意、勘違い、誤判断を予防しよう。想像以上にいい加減な脳の性質を理解すれば、仕事のやり方は劇的に変わります。
なお、上記未読本記事の投稿時にはなかった、Kindle版の配信も開始されています!
IMG_0760 / amandicacom
【ポイント】
■1.ワーキングメモリの「腕」は、一瞬で情報を手放してしまう徐々に忘れるなら「やばい、そろそろ忘れそうだからメモしておこう(または先に片づけておこう)」と対策が打てますが、突如、忘れてしまうので扱いが面倒なのです。
簡単に忘れてしまうなら最初から過信しなければいいのですが、注意を向けて「腕」でしっかりつかんでいる間は「確実に覚えた」と強い実感が湧きます。その感覚は、あなたが長期記憶として覚える記憶の「覚えた」感覚と変わりません。
だから錯覚するのです。
そしてこれこそ、「さっきまではっきりと覚えていたのに、いつのまにかド忘れしていた」というミスが起きるメカニズムです。(中略)
メモリーミスをなくす第一歩は「いまはしっかり覚えている感覚があるけど、この腕を放したら忘れてしまうんだよな」とワーキングメモリの特性を認識することです。
■2.もっとも効率的な仕事補助ツール「メモ」
メモをとる習慣がない人からすれば、メモを書く手間を省いて仕事を少しでも効率化している気になっているかもしれません。
しかし、メモに書かずに頭で「覚えておかなきゃ」と思うこと自体がワーキングメモリのムダ遣いであり、仕事の非効率化の要因になっていることに気づいていません。
ワーキングメモリは短期的に記憶を保存するだけではなく作業台でもあるので、覚えておかないといけない量が増えるほど作業台が狭くなり(=注意力を消費し)、複雑な情報の処理ができません。
その点、メモに書き残せば、即座にワーキングメモリを解放できますので、仕事の精度やスピードも上がるのです。
■3.アテンションミスを防ぐ「チェックリスト」
チェックリストはどんな仕事にあっても非常に有効です。
たしかに経験を積めば「前回あれを忘れたから気をつけよう」「ここはミスしやすい箇所だな」などと注意を割くべきポイントがわかるようになってきますし、それがべテランの存在価値でもあるのですが、そうかといって毎回記憶に頼っているようではあまりに非効率です。思い出すという行為がワーキングメモリを圧迫してしまいます。
一度手間をかけてチェックリストを作ってしまえば、それ以降は頭を使う必要がありません。仕事の効率はさらに上がるでしょう。いまの職場にそうしたチェックリストがないとしても、自分なりのチェックリストを作って日々の業務で活用することを強く推奨します。
■4.復唱によって理解度を確認する
『ビリギャル』の著者で、学習塾の先生である坪田信貴氏は、その著書のなかで生徒に教えたことを復唱させることの重要性を説いています。
復唱するためには教わったことを完全に理解していないとできません。暖昧な理解のままだと論理展開が組めないので、説明もアヤフヤになります。何度も指摘しているように、人は脳の補完機能があるため、すぐにわかったつもりになります。復唱によって自分がどこまでを理解して、どこから理解していないのか、はっきり認識することができるのです。(中略)
仕事の現場でも後輩などに何かを指導して、それが伝わったかどうか確認したいのであれば、復唱してもらうことが最も確実です。
■5.「遅い思考」で「速い思考」を抑え込む
「なぜあんな判断を……」と後悔するときは、たいてい「速い思考」の仕業です。厳密に言えば「速い思考」に振り回されるのが人間であり、より理性的な人、自分を客観視できる人、または自分を律することが得意な人はこうした「速い思考」が下す、時に誤った判断を疑ってかかることができるのです。
そもそも勝手に判断を下す「速い思考」と違って、「遅い思考」は意識しないと回路が動きません。よって「速い思考」が下す判断に従うことになんの疑問も抱いていない人は、「遅い思考」で検証する必要性すら感じないのです。
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?
【感想】
◆本書は下記目次にあるように、私たちが犯しがちな「4つのミス」について解説してくれています。まず第1章の「メモリーミス」では、ワーキングメモリの特性から起こる「ド忘れ」の仕組みに言及。
「確実に覚えたつもり」の情報でも、ワーキングメモリが覚えておけるのはせいぜい7つ前後(7±2)です。
しかも上記ポイントの1番目にあるように、ワーキングメモリの「腕」は、新しい情報が入ってくると、それまで掴んでいた情報をパッと手放してしまうという……。
◆そこで、原始的ですが効果的なのが、お馴染みの「メモ」。
なまじ記憶力に自信のある人はメモを軽視しますけど、「何かを覚えておく」ということは、逆にその分「脳の作業台」が狭くなってしまいます。
そこで、片っ端からメモしてメモリを解放することで、仕事の精度やスピードが上がる、という指摘は、確かにうなづけるもの。
ちなみに、メモとはいわゆる紙に書く「メモ」だけでなく、記憶を思い出すきっかけを与えてくれるものなら何でもよくて、たとえば上司に頼まれごとをされたときに、関連資料を机の上に出しておくだけでも「メモ」になるのだとか。
私も家では、捨てなければならないゴミ袋を、朝、あらかじめ玄関に置いておき、持って行き忘れを防いでおります。
◆また、この「メモリーミス」と近いのが第2章の「アテンションミス」で、これは注意を払わねばならない情報が多くなることにより起こるミスのこと。
たとえば、車の運転に慣れた人は、運転しながら同乗者と会話ができますが、初心者だと無理でしょう。
そういう意味では、「その作業に慣れる」ことは、「アテンションミス」を減らす1つの方法です。
もしくは、「頭の中の気になること」を全部書き出すことでも、ワーキングメモリに余裕を生み出すことが可能。
この考えに基づいているのが、赤羽雄二さんのこの本です。
ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング
参考記事:【思考術】『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』赤羽雄二(2013年12月27日)
それをさらに業務内容に特化させたものが、上記ポイントの3番目で触れている「チェックリスト」であり、当ブログではこういう本もご紹介しているというw
アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】
参考記事:マッキンゼーが選んだ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』の10個の原則(2011年06月23日)
◆一方、第3章の「コミュニケーションミス」は、コミュニケーションだけあって、自分ひとりの問題ではありません。
そこで注意しておきたいのが「『意識の矢印』を相手に向ける」というTIPS。
コミュニケーションが苦手な人というのは、「意識の矢印」が極端に「内向き」(自分の方)になっています。
その結果「相手の話をわかったつもり」になって、コミュニケーションミスが発生する次第。
それを防ぐ上でも、この章の最後で、NLP屈指の理論家であるロバート・ディルツ氏が開発、提唱している「ニューロロジカルレベル」と呼ばれるモデルが解説されていますので、こちらもぜひお読みいただければ、と。
◆なお、最後の第4章では、上記ポイントの5番目で紹介されている、ダニエル・カーネマン博士の『ファスト&スロー』の考え方が全面的に踏襲されています。
上記では具体的にどうすべきか触れませんでしたが、本書で触れられていたものの1つが「感情的にならない」という指摘。
これは感情的になることで、そこに注意が向いてしまってワーキングメモリに余裕がなくなり、結果的に「速い思考」だけが突っ走ってしまうから。
また、いったん感情的になってしまったら、それを素直に受け止め、「意識の矢印」が自分だけに向いていることを自覚せよ、とのことでした。
◆結局のところ、本書は仕事でミスをしがちな方なら、得るところが多いと思います。
特に「メモ」や「チェックリスト」を軽視している方であれば、「なぜそれらが大事なのか」が腑に落ちることウケアイ。
なんでもLinkedInが行った調査によると、To Doリストを使っている日本人ビジネスマンの割合は45%で、これは対象15か国中最下位なのだそう(1位はブラジルの73%)。
私もさっそく、今まで以上にTo Doリストやメモを活用したいと思います。←今さらですがw
「ド忘れ」「不注意」「勘違い」「誤判断」を未然に防ぐために!
仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方
1章 メモリーミス
2章 アテンションミス
3章 コミュニケーションミス
4章 ジャッジメントミス
【関連記事】
【ミス防止!】『仕事の「ミス」をなくす99のしかけ』松井順一(2014年06月04日)【思考術】『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』赤羽雄二(2013年12月27日)
マッキンゼーが選んだ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』の10個の原則(2011年06月23日)
【速報!】プレミア付きの名著『ファスト&スロー』がいよいよ文庫化!(2014年06月17日)
【ヒューリスティック】『思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則』レイ・ハーバート(2012年04月24日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。働く君に伝えたい「お金」の教養 人生を変える5つの特別講義
過去1度だけ「50%OFF」セールの対象となったことがあるようですが、今回は「57%OFF」&「20%ポイント還元」の対象に。
結果、送料加味した中古の半値以下と、お買い得になっています!
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
この記事のカテゴリー:「潜在意識・右脳開発」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/smoothfoxxx/52229715
当ブログの一番人気!
8月19日 9:59まで!←延長中
8月18日まで!←延長中
Kindle月替わりセール
月別アーカイブ
スポンサーリンク
最近の記事
このブログはリンクフリーです