“驚き”で相手の脳を調教できる? 中野信子氏が解説する、本当は怖い脳科学
ものを考えたり、意思決定をしたり、人間のあらゆる活動は脳によって決められていると言っても過言ではありません。しかし、それほど重要な脳について、まだまだ誤解されていることが多いことも事実。今回は、脳科学者の中野信子氏が語った、人間の脳にまつわる恐ろしい真実をまとめました。
- スピーカー
- 脳科学者 東日本国際大学教授 中野信子 氏
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“驚き”が相手の思考を止めてしまう
中野信子氏は、「言葉のギャップがわかりやすさを生むか」ということについてこのように語っています。
わかりやすくなるような感じがするのはなぜかというと、ギャップがあると驚きがありますよね。驚きというのは脳にとっては快感なので。
その快感があると、本当は自分が考えたわけではないのに、自分が考えたと錯覚しちゃう。実際に脳は活動しているから。意思決定する快感と、自分が驚きを感じたという快感は、厳密には違うけれども、自分の意識自体はそれを大してクリティカルには区別していないようなのです。つまり、快感を与えることによって相手の思考を止めたり乗っ取ったりすることができる。
例えば、ドナルド・トランプがうまいのはそこですね。驚きのある発言をして、「これはおもしろい!」と脳に快感を感じさせて、「自分が意思決定するのはしんどいから、この気持ちいい意思決定に従いましょう」と無意識に体に教えこんでいくという、彼のいわば、脳を調教するみたいな手法です。
引用元 「次の土曜空いてますか?」はNG 伝え方のプロが教える、絶対に断られない誘い文句
本当はみんな「脳を鍛えたい」とは思っていない
「脳トレ」が流行り始めて数年。脳を鍛えたいと思っている方も多いでしょう。しかし、本当は誰もが「脳を使わずに済ませたい」と考えているようなのです。
脳トレとか流行っているようなんですけども。私、「脳トレどうしたらいいですか?」「脳を鍛えるにはどうすればいいですか?」といつも取材されますけれども、もうね、答えるのがすごく嫌なのは、絶対にみんなやらないから。
絶対やらない。しんどいし、そんなしんどいことをして「なんの役に立つんだ?」とやってるうちに必ず思うはずです。
そんなこと本当は脳はやりたくない。どんどん使わないで済む方向に、人類は技術を発展させてきたのに。人類の歴史を逆回しするようなことをわざわざ本気でやる物好きはめったにいない。本心では、どうしたら楽できるか、とほとんどの人が思っている。脳を使いたくない。脳をできるだけ使わないで、楽していろんなことをするにはどうすればいいのですか、というのが「脳を鍛えたい」という言葉の裏にある本音でしょう。そんな方法があるなら、それをみんな知りたいんだろうという。
引用元 「みんな自分で選択したと思わされている」相手の無意識を動かす伝え方のテクニック
サブリミナルは実際に効果がある
人の無意識を操る“サブリミナル”。はたして効果があるのか、疑問に思う方もいるかもしれませんが、ある研究によれば実際に効果が確かめられたとのこと。つまり、人の無意識を操作することは可能かもしれないということなのです。
例えば、先ほどお話した選挙の時なんか、意思決定をみなさんは自分でしていると思っていらっしゃると思いますが。
意思決定というのは意外に自分ではしていないものですし、自分でしたいと脳は思っていない。
例えば、自分の意思でどこかの党に投票したとみなさん思っているかもしれませんが、もしその党に、無意識に投票させられていたとしたら、どうでしょう? そういうことがこれから起こりえないとは言えません。
すごく有名な例だと、サブリミナルというのが昔、話題になりましたね。 コカ・コーラの例が有名だと思いますけど、おやりになったという方ご自身が自ら「そのデータが十分でなく、一切を後悔している」と告白して、「サブリミナル効かないんじゃん? やっぱり」という認識が一般的になってはきたんです。 しかし、2006年に、ユトレヒト大学の研究チームがリプトンのアイスティーで同じような実験をやったんです。そしたら、実験室という限定的な環境という条件下でではありますが、リプトンのアイスティーの画像を出すということをしたらですね。 (中略) 認知してる。見ていないとみんな思ってるんだけども、脳は確実に認知してる。それは何十ミリ秒とか、それぐらいのごく短い時間だけ提示するんですね、観客に。そうすると、なんと効果があったたんですよ。見せてないものよりも。
引用元 「みんな自分で選択したと思わされている」相手の無意識を動かす伝え方のテクニック
すごく有名な例だと、サブリミナルというのが昔、話題になりましたね。 コカ・コーラの例が有名だと思いますけど、おやりになったという方ご自身が自ら「そのデータが十分でなく、一切を後悔している」と告白して、「サブリミナル効かないんじゃん? やっぱり」という認識が一般的になってはきたんです。 しかし、2006年に、ユトレヒト大学の研究チームがリプトンのアイスティーで同じような実験をやったんです。そしたら、実験室という限定的な環境という条件下でではありますが、リプトンのアイスティーの画像を出すということをしたらですね。 (中略) 認知してる。見ていないとみんな思ってるんだけども、脳は確実に認知してる。それは何十ミリ秒とか、それぐらいのごく短い時間だけ提示するんですね、観客に。そうすると、なんと効果があったたんですよ。見せてないものよりも。
日本人が新しい挑戦を苦手とするのは遺伝だった
欧米人に比べると、日本人のほうが慎重派が多いというイメージをお持ちの方は多いと思います。実はこれには遺伝的な影響があるのです。
日本人は慎重で、新しいものへの挑戦が苦手と言われます。よくビジネス書なんかで言われますね。「日本人はだからダメなんだ」という論調で語られることが多いようです。6問目は、こうした日本人の特徴は、文化的な背景によるもので遺伝的なものとは関係がない、○か×か、という問題です。
(中略)
答えは×です。これは遺伝的なものが、関係あると考えるほうが妥当です。遺伝が関係ないほうがよかったですね。努力の余地がありそうな感じがする。遺伝的なもの、と言うと、やはり一般受けは悪いのです。だけれども、遺伝的な要素がある。努力しても限界があるということになります。
引用元 「日本人は遺伝的に挑戦が苦手」脳科学でわかる国民性を中野信子氏が解説
思った以上に脳は自分の思い通りには動いていないということがさまざまな研究により浮き彫りになっています。あまり自分の脳を信用しすぎないほうがいいのかもしれません。