中学生の僕らには何もできないけど――
こんにちは、氷太よ。
今日は木村ヒデサト先生の
『鬼は笑うか』
を頂いていくわね。
もうタイトルからして不穏なメッセージ性を感じるわね。
この漫画はねー・・・。
予測がつかない。
っとなる展開が盛りだくさんよ。
こんなBL他にはないわ。
サスペンス的な意味ではなくって、序盤から中盤にかけての
主要人物の行動が完全に頭がおかしい。
ここに関しては自信がある。
読んだ人全員そう感じるはず。
ただし、これら全てには意味があって、後半に一気に収束していく仕組みになってるわ。
だから絶対に本ブン投げちゃだめよ!
あらすじ
青白い首筋が、
鼻にかかる掠れ声が、
射るような瞳が、
手招いていた。
平凡な中学生・星谷は、クラスで浮いた存在の柏瀬と体育教師の情事を
はからずも目撃して以来、彼のことが気になっていた。
ふと二人きりになった時に、柏瀬にからかわれカッとなる星谷だったが、
行動を共にするうち彼の強気の裏側にある寂しげな隙間に気付き――。
大人と子供もの間で揺れる思春期
ガラスのように繊細な日々。
こんな感じね。
まさに光と影のあるBL。
この物語は、この「中学生」という年頃でしか語れないお話だと思うわ。
まさに知識不足、だけど少しは知っている・・・。
大人に向けて成長をしているその最中にいる、不完全な体と心と人との繋がりを描いていく事になるわ。
人ってなんなのか、愛ってなんなのか。
そういった目には見えない不確かな物を、認識し始めた思春期の物語よ。
登場人物
柏瀬(表紙左)×受け
家庭内に複雑な事情を抱えている少年。
男だが「自分には生理がある」と告げ、からかう。
この現象には非情に悲しい理由がある・・・・。
序盤は完全にキ〇ガイ。後半は被害者過ぎて涙出そうになる・・・。
星谷(表紙右)×攻め
天然な所がある柏瀬の同級生。
可哀想に感じたものを放っておく事のできないタイプ。
柏瀬に振り回されながらも、柏瀬の事情を理解していく。
後半の一部分は完全にキ〇ガイ。その後の展開には涙が出る。
感想
恐らくこの漫画は
『どこにもない国』
に収録されている「モロオカ」なる人物に翻弄させられた高校生を描いた短編、中でも『0と1の間』が好きな人は完璧にハマるはず。
愛だの恋だのだけを描くだけではなく、人が持つもの全てを描いている部分に共通性を感じるわ。
ここ、確かに万人受けするようなテーマではないと思うの。
甘いだけじゃないから。
人って汚い部分も持ち合わせた存在だから。
でもそういう清濁併せ持った部分を余すことなく、そして男同士の恋愛に絡めて行く重厚な物語なのよ。
ただ、『どこにもない国』とこの漫画の違いは
感情と理性のどちらを強調しているのか?
ここだと思う。
そして思春期特有の掴み所の難しい心理もよく表現されていると思う。
序盤では嫌悪感があった描写が、後半ではここに繋がるために描かれたのか・・と驚嘆に値するわ。
まだ社会に出て生きていく力を持たない少年が、理不尽に耐え懸命に生きようとする。
それを隣で見つめる事しかできない少年が、何もできないながらも隣に居続ける。
凄いよなあ・・・ほんとに。
思春期にしてもうこれ恋ってレベルじゃないもの・・・。
愛だよね愛。
この年齢にして愛を形にしてるんだものね・・・。
この漫画は愛と献身って何かを教えてくれる。
ただ「ミッちゃん」という星谷の元カノが登場するんだけど・・・。
この元ではなく現の時を全く描いていないから、ここちょっと肩透かし感があったわね。
このミッちゃんと星谷が付き合ってる時の、柏瀬の心理を描いてくれればもっと良かったのになあ・・・。
どんな気持ちで2人を見つめていたのかしらね。
ちなみに氷太がブン投げた部分をちょっと紹介しよう。
その①
柏瀬による「生理である」という証拠を見せ付けられたシーンの星谷のセリフ。
「ああ・・柏瀬にもちんこついてるんだなあ」
「金玉も二つちゃんとついてるなぁ」
そりゃそうだろうよ!!
金玉3つ付いてる人とか居るのかよ・・・!?
ちゃんと付いてない金玉とかあるのかよ・・・!?
「そうしみじみ思った」じゃねえよ!!
「中2の僕にはまだ何もわからなくて」じゃねえよ・・・。
三十路のオッサンでもわけわかんねえよ!!
いやーでもガチでびびったかな。
凄すぎて付いていけなくってここでタブレットを1回ブン投げました。
その②
高校生になった星谷が柏瀬に妊娠検査薬を渡し、おしっこかけてと言うシーン。
最後の最後でやらかしやがったこの漫画・・・!!
なんでちょっとイヤラシイ顔して懇願してんだよお前は・・・!!
おしっこかけるだけなのに、どんだけコマ数割いてるんだよ・・・!!
そしてなんで全体的にエロスな雰囲気が漂ってんだよ・・・!!
だけどこの後にこの部分がなければ成立しなかった超ドラマのある展開が待ってるわ。
ガチで震えるわよ。
ここから全てが最後に帰結するの。
ここでアタシ分かったわ。
何でこのタイトルが『鬼は笑うか』なのか。
アタシ初め、柏瀬の持っている影のある部分を鬼と比喩しているのかと思ってたけど大間違いだったわ・・・。
これ諺(ことわざ)からの由来なの。
そう考えると、この部分とラストが繋がるのよ。
諺分からないならググリなさい。
アタシはそんな野暮な事はしないわ(←かっこつけただけ
まとめ
真っ直ぐ過ぎて、歪みを感じるようなそんな芯のあるストーリーが魅力。
1週目の読書では所々ド肝を抜かれるような部分があるけれども、この物語を語る上でどれもが大事な要素なの。
違和感半端ないかもしれない。嫌悪感を抱くかもしれない。
でも読み終わったとき、必ずアナタはこう思うはずよ。
この漫画は名作だと。
ただややバイオレンスな要素もあるからご注意を!
試し読み(RENTA)
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