陸上男子400mリレー決勝が行われた20日のリオ五輪スタジアム。日本は37秒60のアジア新記録を出し、アジアで初めて同種目の五輪銀メダルを手にした。3人目の走者でエースの桐生祥秀(20)がカーブを中心にスピードに乗って3位から2位に浮上、アンカーのケンブリッジ飛鳥(23)が米国のトレイボン・ブロメル(21)の追撃をかわし、2位でゴールした。「3大会連続3冠」に輝いたウサイン・ボルト(30)率いるジャマイカが37秒27で1位だった。日本のリレーメンバー4人のうち100mの最高記録は桐生祥秀で10秒01。アンカーのケンブリッジの記録は10秒10だ。
一方、米国のチームは4人全員が9秒台の最高記録を持つスター軍団だ。ジャスティン・ガトリン(34)は9秒74、タイソン・ゲイ(34)は9秒69。しかしこの日、日本は水が流れるような見事なバトンパスを見せ、米国の37秒62を0.02秒差で上回った。
陸上の専門家らは「4人は一体になって動き、一人一人の実力を最大限に発揮する『最大公約数』を見いだした。陸上短距離種目はアジア人に難しいという常識も破った」と高く評価した。日本は2008年の北京五輪陸上男子400mリレーで銅メダルを取っており、同種目でのポテンシャリティーを証明している。
日本チームは今回のリオ五輪の予選から息ピッタリで、組織力・士気・記録のすべてを上げていった。18日の予選ではアジア記録(37秒68)を出し、ボルトがいなかったジャマイカ(37秒94)を上回り1位になった。一方、米国チームはエースのガトリンらが100mなどの個人種目に力を入れ、400mリレーは決勝になってようやく合流した。
日本のメンバーで一番目立っていたのはケンブリッジだった。彼は先に行われた100mで10秒17となり準決勝で脱落したが、この日は違った。ウサイン・ボルトらと堂々と競い合った。
ジャマイカ人の父と日本人の母を持つケンブリッジはジャマイカで生まれ、2歳の時に日本に来た。日本では「日本のボルト」と言われている。ケンブリッジは父親の国・ジャマイカと対決する心境を問われると、「私は日本で育った日本人だ。日本で陸上を習い、日本のスタイルの陸上をする」と答えた。そして、「2020年の東京五輪ではジャマイカも抑えて金メダルを取りたい」と決意を語った。
ボルトも日本チームを「この数年間でメダルが取れることを立証してきた。特にバトンの受け渡しが常にスムーズだ」と賞賛した。カナダのアンドレ・デグラッセ(21)も日本チームを「2020年の東京五輪で最も注目すべきチーム」に挙げた。
米国は日本に勝てず3位でゴールインしたが、第1走者マイク・ロジャースがテークオーバー・ゾーンに入る前にガトリンにバトンを渡していたことが分かって失格となり、カナダが繰り上がりで銅メダルを獲得した。米国チームは2008年の北京五輪でもバトンミスで決勝に上がれなかった。