中国 ステンレス製パイプの追加関税を撤廃

中国 ステンレス製パイプの追加関税を撤廃
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中国政府は日本などから輸入するステンレス製のパイプに追加の関税をかけていた措置について、WTO=世界貿易機関からルールに違反していると是正を勧告されたことを受け、22日、こうした措置を撤廃したと発表しました。
この問題は、日本とEU=ヨーロッパ連合の域内のメーカーが製造し、中国の発電所などで使われている高性能のステンレス製のパイプについて、中国政府が、不当に安い価格で販売され自国の産業に損害を与えるとして、輸入される製品に追加の関税をかけていたものです。
日本などは追加の関税は不当で、WTOのルールに違反しているとして訴えを起こし、WTOは去年10月、中国国内に同じような高性能の製品を作る競合企業はなく、中国の産業に損害を与えているとは言えないなどとして、日本側の主張を認め、中国に是正を勧告する判断を示していました。
これを受けて中国商務省は22日、「WTOの判断に従い再調査をしていたところ、国内の業界から追加の関税措置の求めを取り下げたいと申請があり、審査の結果同意した」として、22日付けで追加の関税を撤廃したと発表しました。
経済産業省によりますと、中国政府のこれまでの措置で日本製のステンレス製パイプには年間の推計で、日本円で5億3000万円余りの追加の関税がかけられていたということです。
追加の関税は22日以降、課税されなくなるということで、経済産業省は「日本の製品の競争力の向上につながる」としています。

高い日本製の競争力

今回、中国政府が追加の関税措置を撤廃した高性能のステンレス製のパイプは、主に発電効率の高い火力発電所のボイラーの配管に使われていて、日本のメーカーの製品は内部の高い温度や圧力に対する耐久性があり、競争力が高いとされています。
日本側の業界団体「特殊鋼倶楽部」は「中国では作れない高性能な製品を輸出しているとする日本側の主張が認められた。今回の決定がほかの新興国などでのアンチダンピング措置の防止につながればと期待している」としています。