リオ 課題だった海の浄化「水質改善も取り組み不十分」

リオ 課題だった海の浄化「水質改善も取り組み不十分」
リオデジャネイロではオリンピックをきっかけに、都市が抱えるさまざまな課題に対する取り組みが行われ、海の浄化もその1つでしたが、「不十分だった。今後に期待したい」という声が出ています。
この問題の象徴となったのが、オリンピックでセーリング競技が行われた市東部のグアナバラ湾です。グアナバラ湾は、「ファベーラ」と呼ばれる貧困地域などから未処理の下水が直接流入するほか、ゴミの不法投棄などもあり海水の水質が悪化しています。

リオデジャネイロ州政府は大会へ向けて、下水の処理率を80%まで引き上げることを目標に掲げましたが、結局、50%ほどまでしか達成できませんでした。

グアナバラ湾では、大会直前まで大勢の作業員が陸上や海上から「たも」を使ってプラスチックの浮遊物などをすくい取る作業に当たる姿が見られました。
それでも、グアナバラ湾の海水から薬が効きにくい「スーパー耐性菌」が検出されたと、大会直前のことし6月にアメリカのメディアなどで報道され、海水を飲み込んだり、皮膚に傷口ができたりした場合は、感染症を引き起こすおそれがあるとして、選手の間では不安が高まりました。

オランダ代表は、医療チームを常に待機させワクチンを準備したほか、アメリカ代表は抗菌効果のあるユニフォームを着用しました。

大会中、海水が原因の健康被害は確認されませんでした。競技を終えたイギリスやフランス、ドイツなどの選手は「清掃の結果、3年前に比べて水質はずっと改善していた。全然ゴミを見なかった」とか「ゴミを集めたからか、今月は水がきれいだった」と話していました。

ただ、一方でブラジル代表のコーチは「試合や競技イベントのときはゴミを拾って水質は改善するけれど、取り組みは不十分だ。それでも多くの人たちがこの問題を認識し、人々の意識を高めたと思う。これからに期待したい」と話し、このオリンピックが今後の改善へ向けたきっかけになることを期待していました。