米韓合同軍事演習始まる 北朝鮮の反発警戒

アメリカ軍と韓国軍による定例の合同軍事演習が22日から韓国で始まり、北朝鮮が強く反発していることから米韓両軍が警戒を強めています。
アメリカ軍と韓国軍の合同軍事演習、「ウルチ・フリーダム・ガーディアン」は、毎年この時期に韓国で実施されているものです。ことしは22日から来月2日まで行われ、米韓連合軍司令部は22日午前10時前、南北の軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)を通じて、北朝鮮側に演習の開始を通告しました。

演習には韓国軍からおよそ5万人、アメリカ軍からおよそ2万5000人が参加し、北朝鮮が攻撃してきた場合を想定して、さまざまな事態にどう対応するかコンピューターを使って指揮系統の連携を確認することになっています。さらに、韓国メディアによりますと、北朝鮮からの攻撃の可能性が高まった場合に、北朝鮮の核施設やミサイル基地に対する先制攻撃を想定した訓練も行われるということです。

この演習について北朝鮮は、強く反発して中止を求めており、演習期間中に北朝鮮が弾道ミサイルの発射など挑発を行う可能性もあるとみて米韓両軍が警戒を強めています。

北朝鮮 演習に反発する声明

北朝鮮の軍総参謀部は22日朝、アメリカ軍と韓国軍の合同軍事演習に反発する報道官の声明を発表しました。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信によりますと、声明で軍の総参謀部は、「第1次攻撃部隊が演習に投入されたすべての敵に先制的な攻撃を加えられるように、決戦態勢をとっている」としています。

その上で、「われわれの領土、領海、領空に対してわずかでも侵略の兆候をみせれば、核の先制攻撃を浴びせる」として米韓両国を威嚇しました。

北朝鮮は21日も韓国との窓口機関である祖国平和統一委員会の声明を出して演習の中止を要求していて、演習期間中、反発を続けるものとみられます。

パク大統領 軍事挑発には徹底的に報復

韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領は、22日からアメリカ軍と韓国軍の合同軍事演習が始まったのに合わせてNSC=国家安全保障会議を開き、北朝鮮の現状について、「恐怖政治で住民たちを抑圧しているが、最近は幹部までもが外国に亡命するなど、深刻な亀裂の兆しを見せており、体制が動揺する可能性が高まっている」と述べました。
そして、北朝鮮指導部が体制の動揺やさらなる亡命を防ごうと、韓国に対してサイバー攻撃をはじめとするさまざまなテロや挑発を行うおそれが強まっているとして、合同軍事演習を通じて万全の態勢をとり、軍事挑発には徹底的に報復するよう指示しました。