タイ 泰緬鉄道工事の元日本人通訳からの奨学金授与

タイ 泰緬鉄道工事の元日本人通訳からの奨学金授与
太平洋戦争のさなかに旧日本軍が建設したタイと現在のミャンマーを結ぶ泰緬鉄道の工事で通訳を務めた日本人が、戦後、タイの人たちの役に立ちたいと設立した基金から地元の子どもたちに奨学金が贈られました。
泰緬鉄道は、太平洋戦争中に旧日本軍が補給路として建設し、厳しい労働が課されるなどしてイギリス人捕虜や地元の住民など多くの人たちが命を落としました。

20日、今も泰緬鉄道の線路が残るタイ西部のカンチャナブリで、当時、旧日本軍の通訳を務めた永瀬隆さんがつくった基金から地元の子どもたちへの奨学金の授与式が行われました。この基金は、永瀬さんがタイの人たちの役に立ちたいと24年前に設立したもので、5年前に亡くなってからも、基金から奨学金が贈られています。

20日の式典では、関係者が小学生から大学生まで95人に学年に応じておよそ3000円から3万円を手渡しました。この奨学金を5年間、受けている20歳の女子学生は「永瀬さんは優しい父のような存在です。勉強して、永瀬さんのように通訳になりたいです」と話していました。また、基金の理事を務める満田康弘さんは「永瀬さんの思いを引き継ぎ、日本とタイの交流を維持するためにも寄付を募るなどしてこの奨学金を続けていきたい」と話していました。