国連作業部会 核兵器禁止の条約の交渉開始を勧告へ
k10010643301_201608200747_201608200748.mp4
核軍縮に関する国連の作業部会は、核兵器そのものを禁止する新たな条約の交渉を来年にも始めるべきだと、国連総会に勧告することを決めました。しかし、作業部会には核保有国が参加しなかったうえ、参加した一部の非核保有国からも反対の意見が出るなど、核軍縮を進めるうえでの厳しい現実が改めて浮き彫りになりました。
スイスのジュネーブにある国連ヨーロッパ本部で開かれた作業部会では、ことし2月から各国が参加して核軍縮に向けた法的措置などを検討してきました。
最終日の19日は、核兵器そのものを禁止する新たな条約の交渉を来年にも始めるべきだという勧告を、国連総会に対して行うかどうかが採決にかけられ、賛成68、反対22、棄権13で採択されました。
このうち日本は棄権に回り、佐野利男軍縮大使は「各国の意見を一致させられなかったのは残念だ」と述べ、勧告の内容をめぐってすべての国の合意が得られないまま、採決に持ち込まれたことが棄権に回った理由だという認識を示しました。
また、作業部会にはアメリカやロシアなどの核保有国が、核軍縮は安全保障の実情を見ながら検討すべきで、核兵器を禁止する条約は現実的ではないとして参加しませんでした。
今回の作業部会では、当初から加わらない核保有国だけでなく、参加した非核保有国からも反対の意見が出るなど、核軍縮を進めるうえでの厳しい現実が改めて浮き彫りになりました。
最終日の19日は、核兵器そのものを禁止する新たな条約の交渉を来年にも始めるべきだという勧告を、国連総会に対して行うかどうかが採決にかけられ、賛成68、反対22、棄権13で採択されました。
このうち日本は棄権に回り、佐野利男軍縮大使は「各国の意見を一致させられなかったのは残念だ」と述べ、勧告の内容をめぐってすべての国の合意が得られないまま、採決に持ち込まれたことが棄権に回った理由だという認識を示しました。
また、作業部会にはアメリカやロシアなどの核保有国が、核軍縮は安全保障の実情を見ながら検討すべきで、核兵器を禁止する条約は現実的ではないとして参加しませんでした。
今回の作業部会では、当初から加わらない核保有国だけでなく、参加した非核保有国からも反対の意見が出るなど、核軍縮を進めるうえでの厳しい現実が改めて浮き彫りになりました。
ロシア「核軍縮をむしろ後退させる」
今回の作業部会について、核保有国のロシアの代表がジュネーブの国連ヨーロッパ本部で開かれている別の会議で16日、発言し「わが国も核兵器のない世界の実現を願っているが、同時に、性急で過激な活動家たちが求める核兵器の禁止に向けた交渉の開始は、核軍縮をむしろ後退させる」と述べました。
そのうえで、「作業部会に参加している各国の努力は理解しているし、支持もするが、安全保障やそれぞれの国を取り巻く国際情勢を考慮することなく、核保有国に核兵器の廃棄を強制することは、核保有国と非核保有国とのあいだの対立を急激に深めることにつながる」と述べ、核兵器そのものを禁止する条約についての交渉には参加しない姿勢を示しました。
そのうえで、「作業部会に参加している各国の努力は理解しているし、支持もするが、安全保障やそれぞれの国を取り巻く国際情勢を考慮することなく、核保有国に核兵器の廃棄を強制することは、核保有国と非核保有国とのあいだの対立を急激に深めることにつながる」と述べ、核兵器そのものを禁止する条約についての交渉には参加しない姿勢を示しました。
専門家 議論自体は評価
フランスの外務省でかつて軍縮を担当し、現在は「ジュネーブ安全保障政策研究所」で核軍縮について研究しているマーク・フィノ氏は、NHKの取材に対して「核兵器の非人道性に対する世界的な危機感の高まりが今回の作業部会につながった」と述べ、作業部会で議論が行われたこと自体は評価しました。
その一方で、核保有国が作業部会に一切参加していないことについては「核兵器のない世界を実現するという目標で各国が一致しているのであれば、核保有国もゆくゆくは核兵器の禁止に向けて踏み出さなければならない。考え方にギャップがあったとしても、議論に参加して、みずからの意見を反映させたほうがよいことは歴史が証明している」と述べ、核保有国を巻き込んだ議論を進める必要性を強調しました。
その一方で、核保有国が作業部会に一切参加していないことについては「核兵器のない世界を実現するという目標で各国が一致しているのであれば、核保有国もゆくゆくは核兵器の禁止に向けて踏み出さなければならない。考え方にギャップがあったとしても、議論に参加して、みずからの意見を反映させたほうがよいことは歴史が証明している」と述べ、核保有国を巻き込んだ議論を進める必要性を強調しました。