「統計詐欺」に頼るしかなくなったアベノミクスの末路
アベノミクスが完全に手詰まり状態に陥る中で、安倍晋三首相と黒田東彦日銀総裁は共謀して「経済がうまくいかないのは、GDPや消費などの統計が間違っているからだ」という究極の国民欺瞞キャンペーンに打って出ようとしている。
地方創生・行政改革担当大臣になった山本幸三が就任直後の会見で、「政府統計が各省間でまったく調整が取れていない。その結果、日本のGDP統計はどこまで信用していいのか分からない」として、経済統計の整理・統合に乗り出す方針を明らかにしたのが、そののろしである。
いくら各省にまたがる問題だとはいえ、行革担当大臣の仕事ではないだろうと誰もが思うが、大蔵官僚出身の山本はアベノミクスの仕掛け人のひとりで、「アベノミクスを成功させる会」の会長でもある。経済失政の責任を逃れようとして、最後に思いついたのがこれなのだ。
確かに政府の経済統計にはいろいろ問題があることは周知で、民間からはとうに疑問が出されていたし、昨年秋には経済財政諮問会議の席上で、麻生太郎財務相が総務省の家計調査が実態を反映しておらず、経済産業省の商業動態統計と乖離が大きいと指摘。高市早苗総務相が色をなして反論するという一幕もあった。それを受けて、安倍側近の桜田義孝自民党行革推進本部長は5月に、「経済政策立案に際して“勘と経験と思い込み”に左右されがちであり、各種統計データの整備、分析について見直すべき」とする同本部としての提言を安倍に提出した。その黒幕は山本だったとされる。