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MAツールのリアルな使い方って?実際に上手く使っていると評判の会社に聞いてきました。

MAツールのリアルな使い方って?実際に上手く使っていると評判の会社に行って聞いてきました。

おはようございます。アズマです。

MA(マーケティングオートメーション)ツールについての記事はたくさんありますが、実際に業務で使っている方の”生の声”って少ないんですよね。

今回はMAベンダーさんから上手くツールを活用していると評判の(株)HDE のインサイドセールス & デジタルマーケティング マネージャー 水谷博明さんに導入するキッカケから導入してどうなったか?などなど根掘り葉掘り聞いてきました。

きっかけは秘伝のタレのようなエクセルファイル

―御社がMAツールを導入されたキッカケからうかがえますか?

水谷さん

株式会社HDE: 20年前、自社開発のLinuxサーバー管理用ソフトウェアを販売開始。現在は主にGoogle Apps、Office 365に対応したセキュリティクラウドサービス HDE OneをBtoBで提供している。業界シェアは75%以上。
―水谷
はい。導入前の営業スタイルはよくある体育会系って感じで、すぐには案件化しないものはとりあえず置いておいて、すぐに案件化しそうなものを見つけるため新規、新規って感じで営業していました。

HDEの営業ターゲットは

  1. 従業員規模250人以上の企業
  2. 情報システム部の担当者
  3. Google Apps、Office 365のどちらかを使っている

という狭さ。

しかも、過半数以上の国内シェアをすでに獲得しているという状況で7、8年も新規開拓してきたので、国内での”まったくの新規”というものに限界を感じだしたんだそうです。

そんな時。

営業が1度コンタクトをとったけれど案件化されずに放置されているものがかなりあるんではないだろうか?と仮説が立ったそうなのですが…

―水谷
いままで秘伝のタレみたいな共有エクセルファイルを上書きして使っていたんでハッキリとわからなかったんです。

そこで”秘伝のタレ”エクセルデータを「見えるデータ」にするためにCRMのSalesforce.comを導入。見えるデータになったことにより仮説が確信に変わったそうです。

そして「見えるデータ」を今度は「使えるデータ」にするためMAツールを導入。というのがMAツール導入のキッカケだったそう。

シームレス。本気度。コミュニティで選んだMAツール

―たくさんのMAツールが存在しますが、何を基準に選んだんですか?

水谷さん

―水谷
導入のキーポイントはすでに使っているSalesforce.comといかにシームレスに連携できるかということでした。

検討の結果、最終的にはMarketoに決まったんだとか。

決め手は”本気度“と”ユーザー会が盛り上がっている“ということだったと水谷さんはおっしゃっていました。

当時、日本法人を設立したMarketoに日本市場での本気度を感じたそうです。日本法人があることでサポート面で大きく変わってきますから当然ですよね。

他にもユーザー会が盛り上がっているということも最終的な後押しになったんだそうです。実際に使っている人達がリアルに情報交換できるのは大きな強みでもありますよね。

MarketoとSalesforce.comの連携はかなり良くできていて、例えばSalesforce.com側で項目をつくるとMarketo側でも自動で項目が作られる。といったようにシームレスに連携されているそうです。

最初に行ったのはデータベースのクリーニング

―導入してみてどうですか?

水谷さん

―水谷
導入して1年半ですがまだアナリティクスやリードナーチャリングなどは本格的に活用していません。何をしていたかというとデータベースのクリーニングです。

クリーニングしたデータベースから送られるメールとそうではないメールでは雲泥の差があるそうです。

大量にメールが送りつけられる現代で、一度でもトンチンカンな間違ったメールを送れば、フィルターにかけられ2度と開かれない。だから初動のメールはかなり神経質になるんだとか。

データベースのクリーニングでは

  1. 歯抜けの項目を埋める
  2. 重複データを名寄せする
  3. バラバラのデータをクラスタリングする

を実施したそうです。

クリーニングによって今まで単なる「テキスト」だったものが「活用できるデータ」になったそう。

9割の確率で商談につながるアラートメール

―「活用できるデータ」をアナリティクスやリードナーチャリングの他に、どのように使っているのか興味があります

水谷さん

―水谷
弊社でかなり頻繁に使っているのが社内向けメール。営業に送るアラートメールです。

アラートメールとはユーザーがHDEのサイトに来たときに、担当の営業への通知をするメールを指すそう。

最初は「あなたの担当している会社の人がwebサイトにきました」っていう無味乾燥なメールをしていたそうですが、日増しに開かれなくなったんだとか。

そこで「メールを見るように!」と上から指示するのではなく、本質的な部分での改善にチカラを入れ、開いてもらうために工夫したそうです。

メール図

  • ユーザーの状況
  • 口語調
  • タイミング(企業の決算月)

この3点をタイトルに入れることで開封率はほぼ100%。アラートメールも20種類ほど出しわけるようになったそう。

なかでも「ロスト企業のアラートメール」というものが9割以上の商談につながり、そこからほぼ受注につながるといったほど効果をあげたそうです。

これは「一度説明までしたが最終的に他社を選んだ企業」が、他社を選んだにも関わらずまたサイトにきた。というお知らせメールで何かしら導入したものに問題がおきている可能性が高いということで、営業からの成約率が高くなるんだとか。

現場で精度の高い情報を入れれば、精度の高いメールが届く。イコール結果にむすびつくということを営業が理解することでHDEでは入力率、開封率ともに100%近いとのことでした。

マーケター脳では使えないMAツール

―MAツールなのでマーケターなどが主にあつかうツールになると思うのですが、うまく使うアドバイスなんてありますか?

水谷さん

―水谷
私が現場と同じ部署にいるのでわかるのですが、マーケティング脳だけではBtoBのMAツールは使えないと思います。

売上をあげるのは営業なので営業のためになるように考えないといけない。営業脳のひとがやったほうが成果は上がると思います。

言うならば現場感がわかるマーケター。営業と歩み寄れるマーケター。

マーケティングと営業をつなぐのはたしかにMAツールなのですが「マーケター VS 営業」という構造だと機能しないツールだということでした。

自分だけでは売り上げをあげることができないんだということをまず本質的に理解したうえで、自分の意見を発信しなければいけないということです。

現在、HDEではグローバル化を推進しており、すでに従業員の10%は海外スタッフだそう。

そういったグローバル化の部分でもMarketoは言語切り替えが簡単で対応しやすいとのことでした。

リモートワークなどワークスタイルの変化にもデジタルで対応し、会社としても働きやすい環境としてクラウドサービスを積極的に使っているそうです。

―水谷
そんな環境は我々のようなセキュリティサービスがないと成り立たないんですけどね…と、つい宣伝してしまいました(笑)

さいごに

今回、リアルなMAツール導入事例が聞けました。導入をご検討中の方に参考になったんじゃないかと思います。

組織を多角的にとらえ歩み寄る。リスペクトの精神がないとどんな素晴らしいツールも意味をなさない。やはり使う側の問題がまだまだありそうです。いまやるのか、後でやるのか…

目の前の問題をガシガシ解決するHDE、水谷さんに今後も注目です。

水谷さんお忙しいところありがとうございました。

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MA、O2O、SNS、スマートアグリ、HR、形態素解析、ディープラーニング、ビックデータ分散処理など幅広く流行りの技術やマーケットをなるべくカンタンにご紹介。コーヒー片手に読める!が自分テーマ
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