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【政治】

柳沢協二さんのウオッチ安保法制 犠牲出てもやめられない

 安全保障関連法に基づく訓練開始の決定を受け、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への派遣部隊が二十五日から訓練を始める。駆け付け警護が新たな任務として付与された場合の安全性について、柳沢協二さんに聞いた。

 ◇ 

 駆け付け警護は、自衛隊が武器を使って国連職員らを救出する場合、何が起きるのか誰にも想像できない。自衛隊はPKOの派遣先で、交戦状態に入った経験がないからだ。

 最悪の事態も想定しなければならない。反撃されて隊員に犠牲が出たとき、それでも活動を続けるのか。「死んだからもうやめます」とは言えない。現地の状況が変わらない限り、永遠に関与していくことになる。

 駆け付け警護で人に危害を加えることができるのは、自身の正当防衛や、警護対象の国連職員らが殺されようとしているのを防ぐ場合。実際問題として相手より先に攻撃することが必要だが、自衛隊は(本来的に)先制攻撃はできない。そういう部隊が駆け付け警護という任務をもって展開することが、現地の人や国連にとって迷惑でないのかも考えないといけない。

 私が小泉内閣の官房副長官補だった二〇〇四年に始まった自衛隊のイラク派遣の際、官邸や与党の幹部は「隊員には何とか銃弾を撃たずに戻ってきてほしい」と思っていた。

 駆け付け警護で命を懸けることの意味が問われている。「こういう国益がかかっている」という説明が政府からあり、それを国民が納得したのでなければ、犠牲者が出た場合に国民から大きな反応があると思う。 (聞き手・新開浩)

 

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