実質GDP成長率では米国を上回る
6月23日の国民投票でEUからの離脱を決めたイギリス経済にマーケットの注目が集まりつつある。現時点で国民投票後の経済状況を表す経済指標はあまり出ていないが、投票直後に懸念されたようなイギリス経済の悪化はいまのところみられない。
7月27日に発表されたイギリスの2016年4-6月期の実質GDP成長率は、前年比で+2.2%、季節調整済前期比年率換算で+2.4%となった。いずれも1-3月期から成長率は上昇した。
90年代後半からリーマンショック前までのイギリスの平均的な実質経済成長率は3%弱だったので、これと比較するとやや低いが、それでも他の欧州諸国を大きく上回っているばかりか、米国のそれをも上回っている。すなわち、リーマンショック後、イギリスは先進国の中ではもっとも成長率が高い国に分類される。
現時点では、GDP全体の伸び率しか公表されていないが、1-3月期との比較で注目したいのは、民間設備投資である。実は、イギリスの民間設備投資は2015年10-12月期から2四半期連続で減少しており(前年比、前期比とも)、この民間設備投資の減少は、「Brexit」懸念による投資抑制であるとの見方があるためだ。
ちなみに、この民間設備投資と似たような動きをしているイギリスの鉱工業生産指数は4月期以降、上昇基調を強めている。まだどうなるかはわからないが、民間設備投資の減少が止まっていれば、これはイギリス経済にとって好材料である。
イギリスの経済指標のうち、7月の結果が既に公表されているのは、消費関連指標である。まず、7月の消費者信頼感指数は、マイナス9.2ポイントと、6月のマイナス1.2ポイントから大幅に悪化した。消費者信頼感指数は5月からマイナスに転じており、悪化していたが、7月は大幅に低下した。これは明らかに「Brexit」の影響であろう。
BBCをはじめとするイギリスのメディアも「Brexit」の悪影響を大きく報じていたので消費者のセンチメントが悪化するのはある意味当然かもしれない。
堅調な小売売上の背景
だが、その一方で、実際の消費動向を示す小売売上数量指数は前年比で+3.5%と、6月の同+1.4%から伸び率は拡大した。しかも、「+3.5%」という伸び率は、2014年11月の同+5.0%に次ぐ高い伸び率である。
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