〈今回の記事の目次〉
0.はじめに
先週末、話題の映画「シン・ゴジラ」を見てきました。日本の官僚が中心となって、害獣である「ゴジラ」に対し、立ち向かう、というのが粗筋です。その官僚の中で、ネットを中心に熱狂的な人気を誇るのが、尾頭ヒロミです。彼女の行動や雰囲気は、私のいた大学院の一部の女性たちを彷彿とさせるものであり、登場人物の中でもインパクトが強かったです。そういうわけで、記事タイトルどおり、尾頭ヒロミが院卒だったらという視点から、「シン・ゴジラ」を振り返ってみようと思います。
なお、下の映画パンフレットの表紙にありますように、ネタバレを含んでいます。閲覧は自己責任でお願いします。
(画像:映画「シン・ゴジラ」パンフレット表紙)
1.尾頭ヒロミはどんな人?
モデル出身の市川実日子さん演じる、環境省自然環境局野生生物課長補佐の尾頭ヒロミ。
(画像:尾頭ヒロミ/仲見満月・画)
実は、本作の中ではビジュアル面、雰囲気が私の大学院時代の女性の一部の先輩方にそっくりでした。皆さん、尾頭ヒロミのような、カクカクとした機械っぽいしゃべり方はしない人でした。が、ところどころ、画面に尾頭ヒロミが登場するたび、大学院で彼女たちと接した時のことを追体験するようで、笑ってしまったのです。さっそく、似ている点を挙げていきます。
2.似ている点その1:化粧が薄いように見える
演じる俳優の市川美香子さんは、モデル出身であり、作品ごとの役柄に合わせて、メイクを変えていると思われます。今作の尾頭ヒロミはスッピンまでいかなくとも、下地を塗り、眉毛を整えたくらいの、化粧が薄いものでした。序盤に登場していた防衛大臣、米国大統領特使と比較すると、その地味さはハッキリ分かります。この化粧の薄さは、尾頭ヒロミが生物学の研究をしていたと考え、おそらく修士以上を終了してから環境省の自然環境局に入ったと仮定すれば、説明しやすいでしょう(ちなみに、尾頭ヒロミを引っ張って来たのは、彼女の大学の後輩で、主人公の矢口蘭堂の秘書官・志村祐介)。
院生時代の女性たちで、生物学を含め、理系のフィールド調査があったり、飼育したりする研究室や部署は、化粧の薄い人が結構、いました。フィールド調査するところでは、長時間、野外にいると化粧しても汗と皮脂でメイクが流れ、ドロドロになってしまうそうです。そういった調査をする人たちは、日焼け止めを塗る程度しかしないそうです。飼育するところは、生物を使った実験で化粧品が混入する危険があるらしく、それなら化粧をしない!という人もいるんだとか。ほかにも、研究に没頭しすぎで、丁寧に化粧をしている時間がない、というか忘れてしまったり、するという意識がなくなったりする人がいました。映画の中でいうと、巨災対のメンバーが、ゴジラの動きを止めるため、作業室にこもって寝泊りしていたようなことを、私の先輩方は実際にしていたのです。
こういった大学院生の中には企業や大学のほか、修士時代から動物園や水族館、植物園にバイトや研究で出入りし、修了後はそこに修士卒以上の学歴で就職したり、国の機関に研究員として就職したり、国家公務員試験を受けて関連する官庁に就職したり、といった進路に進みます。ストーリーの序盤において、閣僚の前でPCのゴジラ動画を見つつ、分析していた様子から察するに尾頭ヒロミは修士卒以上で、自然環境局に最初は研究員として入って現職となったか、あるいは国家公務員試験に合格後に自然環境局に配属されたか、どちらかだと思われます。役職名からするに、おそらく、後者の配属されたほうが可能性として高そうです。もともと、研究に没頭しやすかったと考えれば、入局後も仕事に熱心故、化粧が薄いのだと思われます。
3.似ている点その2:研究中や仕事中は真顔に見えるような顔つきで、きっぱりとした言い方が目立つ
個人差があるものの、私の周りの女子院生たちは、研究作業中や仕事中だと真顔でPCに向き合い、研究室でのやり取りではきっぱりと言う傾向の人が多かったです。
これにも理由があります。研究や仕事に没入しすぎて、気持ちに余裕がない状態が続くと、表情が真顔になりがちですなのです。しゃべり方に関しては、普段、一緒に作業している研究室の先生方との「攻防戦」によるところが大きいのかと。
研究室のボスたる教授、指導教員によっては、研究予算の事務作業や書類作り、院生の助成金申請や就職に必要な推薦書等の書類作成を面倒がり、のらりくらりとかわす困った先生たちもいて、彼らを相手にして仕事をしたり、要求を通したりするには、先生を捕まえ、しつこく何回も迫り、ハッキリと先生に頼むことを言って、やっと相手に対応させることができるのです。研究が好きで、大学の部屋にこもっているか、日本だけでなく世界のあちこちをフラフラしている大学教員には、事務作業を非常に面倒くさいと感じる先生方がいて、彼らにこちらの要求を明確に伝え、「仕事をさせる」ため、身につけた術の一つが、はっきりした言い方だと思われます。
物語の終盤で、ヤシオリ作戦が成功した後、尾頭ヒロミはゴジラが動かない(凍結されたまま?)期間をPCで予測して、ほっと一息つき、笑顔になるシーンがあります。巨災対でゴジラ凍結のため、ほかのメンバーと国家の一大事を乗り切るため、懸命に仕事に取り組み、緊張して気持ちに余裕がなかったのでしょう。彼女の笑顔を見ながら、一仕事終えた後、ニコニコしていた大学院の女性の先輩方を思い出しました。尾頭ヒロミのファンには、この仕事後の笑顔がたまらないようで、ひょっとしたら彼女の真の魅力なのかもしれません。
4.まとめ
実は、劇中の様々な場面で、大学院時代を思い起こすことがあったので、最初はそれを書こうとしていました。巨災対の部屋に持ち込まれた数々のファックスやコピー機、PCといった機器を運び込むところ、作業に没頭してその部屋で寝ている人たちの間を清掃員がゴミの回収をする様子など、です。しかし、尾頭ヒロミについて書いているうち、彼女のことだけで長くなってしまいました。記事の推敲をする段階で、このブログのテーマの一つである院卒者のことと結びつける方向にしぼり、内容をまとめました。
書いた後に申し上げておきますと、似ている点に関しては、私独特の見方であったり、院生時代の記憶をたどって書いていたりするため、実際の女子院生の誰もが尾頭ヒロミのようではないのです。あくまで「ブログ管理人の周囲には、尾頭ヒロミみたいな人もいたんだな」くらいで、お読みいただけたらと思います。彼女の魅力については、ネット上の様々な媒体で語られているようなので、これから探してみようとしています。
最後に、この記事では書けなかった「公務員あるある!」と共感した劇中の場面につきまして、的確まとめページを見つけたので、リンクを貼りました。お気が向かれたら、お読みください↓