魔法の粉
魔法の粉というと、なんとなく胡散臭いような気もしないでもないですが、そうではありません。そしてゲームとかに登場するような便利アイテムでもありません。
私にとって魔法の粉とは、ホットケーキミックスのことです。
大人から子供までみんな大好きな定番ホットケーキはもちろんのこと、ドーナツやパウンドケーキ、ホールケーキのスポンジやクッキー、パンにピザにクレープ、スコーンに中華まんに蒸しパン等々幅広く作ることができるのです!
まさしく、ホットケーキミックスは魔法の粉といっても過言ではありませんね~。
・・・まあ、私が作ることが出来るのはホットケーキか、せいぜい頑張ってドーナツくらいですけども。
ホットケーキは子供の頃からの大好物で、今でもたまに買って作ることがあります。ケッチィ~節約家なので買う時は大安売りの時のお徳用パックですけどね。
脱・食パン
今日もお昼は食パンを食べることになるだろうと思っていたので、とろけるチーズをのせたチーズトーストか、はたまた卵を使ってたまごサンド、いや!待てよ!?ハムとレタスでハムサンドも捨てがたい・・・。なんて悩んでいた時です。
お昼に母が「粉を使い切るのにホットケーキ焼くから食べなさい!」と言ってきました。
え!?わざわざ!?いついかなる時も私に食パンを押してくるあの母が、私のためにホットケーキをわざわざ焼いてくれるというのですかっ!?
信じられない気持ちではありましたけど、思いがけずに大好きなホットケーキを食べることが出来るのでテンションもダダ上がりです!
ごめんね食パン。私の中では所詮、貴方はホットケーキには勝てないのですよ・・・。許してね食パン。
こうして私は焼きたてほかほかのふんわりホットケーキにありつくのでした。
いただきます
パクリとアツアツのホットケーキを口に入れてじっくりと味わいます。
そうそう、これこれ。この鰹と昆布の風味が効いた深みとコクのある旨味は日本人なら誰もが親しんだ定番の味。
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ダシ効いとるやん!!
母!母っ!!何か、ものすごくダシが効いていているのですがっ!?そしてそのダシがホットケーキの甘さと濃厚なバター・・・風味のマーガリンと素敵なハーモニーを醸し出すどころか、見事なまでの不協和音を醸し出していますよっ!?
ここぞとばかりにハチミツをたっぷりかけてしまったあたりも、果てしなく胸やけ感をそそってくるのですがっ!?
「え・・え~と、あのね?何かダシがものすごく効いている感じがするのですけど・・・?あ、いえ、不味くて食べられないとか、そんなことをいっているわけでは・・・。あの、何か恐ろしいほど斬新な和洋折衷的な感じがですね・・・?」
心の中ではプチパニックを起こしながらも、超下手に出ながら何とかホットケーキの違和感を伝えました。
粉の正体
そこで私は気付きました。母が手に持って捨てようとしていた、たった今使い切ったばかりの粉が入っていた袋の存在に。
それ、ホットケーキミックスちゃうやん・・・?お好み焼粉やん・・・?lllorz
確かに「ホットケーキミックス」とは言わずに「粉」と言っていましたけども・・・。
別に使い切るのは悪くないのですけど、お好み焼粉なんだからお好み焼きを作って食べれば良いのではないかと思うのです・・・。
どうやらお好み焼きに使う具材がないので、砂糖を入れるだけでいいホットケーキを選んだようですけどね。
ちなみに、母に味見をしたのか聞いてみたのですが、味見はしていないとのことでした。ついでに少し食べてみるかとも聞いてみたのですが、「いらない」ときっぱりと断られましたよっ!!
私1人で大きめサイズの斬新な和洋折衷ホットケーキを3枚完食しなければならないという厳しい現実が突き付けられました。
懐かしさ
胸やけと格闘しながら斬新なホットケーキを食べていると、初めて食べるのに、なぜかどこかで食べたことのあるような、そんな不思議な感じがしました。
何かの味に似ているような・・・?あれかな?麦芽小麦と全粒粉のビスケットとか・・・?う~ん、かろうじて掠っているような気もしなくもないですが、スッキリとはしません。
うんうんと悩んでいると、「何?食べないの?」と疑問形ながら、食べないわけないよね?というような影の圧力を感じました。
「た・・食べます食べます!残すわけないじゃないですかぁ~。やだなぁ~。あはは~あはは~」と焦る私に母は続けました。
「そうよね?アナタ子供の頃もそれよく食べてたし。」と。
それだ!
初めて食べたと思っていた斬新なホットケーキは、私の子供の頃にも作られていたのでした。懐かしさの正体を知って思い出にほっこりするどころか、グッタリしてしまいましたよ・・・。
それにしても、母・・・子供に斬新なホットケーキ作るのやめて下さい。よく食べてたっていうほど、そんなにたびたび作るのやめて下さい。
というか、おそらく子供の頃も好きでよく食べていたわけではなくて、あなたの威圧感が怖かっただけ・・・あ、いえ、なんでもありません。
脱・食パンを脱
いくら食いしん坊な私とはいえ、斬新なホットケーキを食べ終えるにはさすがに時間がかかりました。
ごめんね食パン。さっきはホットケーキに勝てないとか思って本当にごめん。謝るから、土下座する勢いで謝るから!今すぐこのホットケーキを食パンに変えてはくれないでしょうかっ!!
心で謝罪をしながら、猛烈に食パンを求めずにはいられないランチタイムなのでした。