いまの日中韓の間に漂う雰囲気は、それほど良好とは言えない。それでも、3…[続きを読む]
安全保障関連法に基づく自衛隊の新任務の訓練が順次、始まる。政府がきのう…
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安全保障関連法に基づく自衛隊の新任務の訓練が順次、始まる。政府がきのう発表した。
まず行われるのは、南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に、11月に派遣される予定の陸上自衛隊部隊に対する「駆けつけ警護」の訓練だ。
道路補修などにあたる施設部隊だが、駆けつけ警護は、離れた場所で武装勢力に襲われた国連、NGO職員らを武器を持って助けにいく任務だ。自らの部隊を守るだけでなく、外に出て多くは丸腰の人を守ることになる。隊員のリスクが高まることは避けられない。
この任務を付与するか否かは今後、現地の治安情勢などを踏まえて政府が判断する。国会での徹底した議論が欠かせない。
南スーダンの人道危機にいかに歯止めをかけ、国造りを支えていくか。自衛隊を含むPKOの役割は大きい。
一方で、その実態が変質したのも確かだ。かつて「敵のいない軍隊」と呼ばれたPKOは、紛争の当事者にならない、中立性を重んじるものだった。だが近年は、人道危機から住民を保護するために武力を積極的に用いる活動が常態化している。
紛争地の状況は刻々と変化していく。実際に駆けつけ警護に踏み込むとすれば、現地の部隊も、東京の政府も極めて難しい判断を迫られるだろう。
ところが、その根拠となる安保関連法について、国会での議論は尽くされていない。11本の法案を2本にまとめ、焦点はPKOのあり方ではなく、集団的自衛権をめぐる憲法問題などに当たった。7月の参院選でも大きな争点にならなかった。
この間、南スーダンの情勢は大きく変わった。自衛隊が活動する首都ジュバで7月に大統領派と副大統領派の武力衝突が起き、国連安全保障理事会は、より強い武力行使の権限を持つPKO部隊の増派を決めた。これに対し、南スーダンの代表は「主要な紛争当事者の同意というPKO原則に反している」と反発している。
自衛隊が憲法と国内法の範囲内で活動するのは当然だ。受け入れ国の同意が維持されることが派遣の前提であり、現地の動きを注視する必要がある。
南スーダンの国造りにより良く貢献するためにも、一方で、行き過ぎた軍事行動に陥らないためにも、自衛隊が何をして、何はしないのか、より具体的で幅広い検討が求められる。
秋の臨時国会をその場にすべきだ。政府はできる限り情報を開示し、与野党で現地の実情を踏まえて議論してほしい。
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