日中外相会談 尖閣諸島周辺での領海侵入に直接抗議

日中外相会談 尖閣諸島周辺での領海侵入に直接抗議
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岸田外務大臣は24日午後、中国の王毅外相と会談し、沖縄県の尖閣諸島周辺で中国当局の船が領海侵入を繰り返していることに直接抗議し、事態の沈静化を強く求めました。これに対し王外相は「尖閣諸島は中国固有の領土だ」とする従来の立場を繰り返したうえで、不測の事態を回避することが重要だという認識を示しました。
岸田外務大臣と中国の王毅外相との日中外相会談は、日中韓3か国の外相会議が終わったあと、24日午後3時半ごろからおよそ1時間にわたって外務省で行われました。
会談で岸田大臣は、沖縄県の尖閣諸島周辺で中国当局の船が領海侵入を繰り返していることに直接抗議し、中国側の資源開発の問題も含め、東シナ海全体の状況を改善し自制するよう求めました。また岸田大臣は、海上や空での偶発的な衝突を避けるための「連絡メカニズム」の運用の重要性を指摘しました。

これに対し王外相は、「尖閣諸島は中国固有の領土だ」とする従来の立場を繰り返したうえで、東シナ海情勢の悪化を防ぎ、不測の事態を回避することが重要で、意思疎通を積み重ねて日中関係を改善していきたいという考えを示しました。

さらに会談で岸田大臣は、東シナ海の事態が改善すれば、来月上旬に中国で開かれるG20サミットに合わせて安倍総理大臣と習近平国家主席による日中首脳会談を開催することも含め、対話を通じて関係改善を進めたいという考えを伝えました。

外相「意思疎通で関係改善を」

岸田外務大臣は、日中外相会談が終わったあと記者団に対し、「外交当局、外相レベルでの意思疎通は、絶えず重要だと認識しており、こうした意思疎通を通じて状況が改善され、結果として両国関係が改善されていくことを期待している。きょうの話し合いも、意義ある意思疎通で今後につながっていくことを期待したい」と述べました。

中国外相「東シナ海 正常に戻っている」

中国の王毅外相は、岸田外務大臣との会談のあと報道陣の取材に対し、「東シナ海の問題を多く話し合った」と述べ、沖縄県の尖閣諸島周辺で中国当局の船の活動が活発化していることについて時間をかけて話し合ったことを明らかにしました。
そのうえで「今はもう基本的に正常な状態に戻っている」と主張しました。

一方、来月、中国で開かれるG20サミットで日中首脳会談が行われるかどうかについて、「日本側がそうした希望を持っていて、中国側は現在検討している。良好で適した雰囲気がつくられることをわれわれは望んでいる」と述べました。
そして「中国はホストとしての務めを果たすが、同時に客もホストの意向に添い客としての務めを果たさなければならない」と述べ、G20サミットで日本が東シナ海や南シナ海などの問題をことさら取り上げることのないようけん制しました。