本ブログは数字をいじって遊ぶのが本筋ですので、それとはまったく無関係な話なのですが、なんか報道とか見ていると社会的なあり方から大きく外れているような気がするので一言。 SMAPの解散問題についてです。 私の書き残したいことは以下の3点です。 1.パワハラ退職者を擁護するという社会的「善」より業界の掟が優先されるのか 2.プロデューサー然としたマネージャーの移動」というのは契約上の重大な変更ではないのか 3.個人事業主に対してあまりに優越的地位の濫用する業界大手の行為への法的牽制が必要なのではないか 1.パワハラ退職者を擁護するという社会的「善」より業界の掟が優先されるのか さて、今回の騒動は、長年担当したマネージャーの解雇にメンバーのうち4人が追随して独立しようとしているとのことです。 で、その原因がジャニーズ事務所内での確執だとか。 ジャニーズ事務所内の事情なんて、私のような外の者には知りうることではありませんので真偽はわかりません。 ただ、表立ってわかるのは、週刊文春のジャニーズ事務所副社長本人へのインタビュー記事です。 ここで副社長はSMAP担当マネージャーを呼び出し、記者の前で「公然と」叱責し退職勧告まがいのことまで口にして、それが「公然と」出版されて書き残されていることです。 私の知る限り、この記事へのジャニーズ事務所からの抗議や訂正要求、出版差し止め仮請求などはなかったと認識しています。 つまり、ジャニーズ事務所が副社長の一連の言動を事実として認めていると、私は判断します。 そして、ここでの一連の言動は十分パワーハラスメント(パワハラ)と捉えられるものであると、私は理解します。 その私の判断・理解が正しいとすれば、パワハラ退職を迫られた社員を擁護する契約先個人事業主であるSMAPメンバーの追随判断は社会的に「善」と捉えられるものかと思います。 もちろん文春記事だけが原因じゃないのでしょうが、マネージャー氏に対して横領などの刑事告発がない限り、世間として認識できる事実は文春の記事だけであり、仕事のやり方がどうであれ、パワハラを行ったという事実こそ非難できるところです。 しかし、芸能マスコミは、どうも社会一般の善よりも、事務所独立タブーという業界内ルールのほうを優先してSMAPの動静を伝えているのに終始しているように感じられてなりません。 SMAP独立が単なる利益を巡ってのマネージャーの反旗なのか、それとも事務所内のハラスメントのためなのか。その状況の有無こそ、中居正広らの行動が正義なのか否なのかの世間からみた判断の材料になると思います。それにマスコミが触れずに「土下座しなくては事務所に戻れない」などという業界内関係者の言動を垂れ流すべきではないと思います。 2.「プロデューサー然としたマネージャーの移動」というのは契約上の重大な変更ではないのか 他の芸能事務所もそうなのかもしれませんが、報道の内容からみると、ジャニーズ事務所の当該マネージャーはマネージャーというよりも、プロデューサーに近い役割を果たしてたように読めます。 誰がプロデュースをするかはタレントにとっては死活問題です。タレントの持っている才能を生かせるかどうかがその人の手腕にかなり依拠するわけですから、単なる仕事の取次とは訳が違います。 タレント(芸能人)は一般的に社員ではなく、個人事業主です(ホリプロは社員制だっけ?)。したがって、個人事務所でない限り、マネジメントをする芸能事務所との契約をし、その更新を繰り返します。刑事罰やその他商品価値を毀損するような行為をした場合には、契約解除などの条項があるものとみられます。 契約更新にあたっては、特段の問題がない限り、ギャラ以外は前回契約時の内容の継続が一般的でしょう。普通に考えるとSMAPの場合、契約の前提として20年来のマネージャーが継続して担当することが暗黙の了解となって裏打ちされるものと考えられます。上記のとおり、単なる取次窓口ではないということが20年以上続いているわけですから、契約の大前提と考えらるんじゃないでしょうか。 そうなると、担当マネージャーの更迭というのは、契約の大前提を覆す重大な変更として捉えられるものかと、私は考えます。 だとすれば、契約の違反、とは言わないまでも、契約内容の変更の申し出はジャニーズ事務所側にあり、SMAPメンバー側に契約変更の了解を取らねばならないところです。もし、了承されないならば、その時点で契約破棄となりうる事態です。もちろん事務所側がマネージャー変更が重大な契約変更内容だとは認めないでしょうが、上記のとおりタレントの死活に関わる問題で、かつSMAPについては20年以上その継続で契約が更新されている以上、契約への社会通念からすれば事務所のいう「9月までの契約」だとかを鵜呑みにすべきことじゃないと考えます。ましてSMAP側の裏切りだとかとんでもない話で、裏切ったのは、仕事上の瑕疵もないのに更迭をする事務所側にあるといえるでしょう。 そこが「タレント側の単なるワガママで独立を図った」とは大違いの今回の事態なのです。 だからこそ「退所したら仕事を干す」なんてことは筋違いも甚だしいわけで、契約の大前提を履行できなかったジャニーズ事務所こそSMAP側に詫びをいれて、今後が円滑になるように周囲に図る責務があると、私は考えます。 3.個人事業主に対してあまりに優越的地位の濫用する業界大手の行為への法的牽制が必要なのではないか 上記ともかかわますが、個人事業主である芸能人を、自社との契約が切れたからって、他社との契約を阻んだり、芸能界という産業内への再参入を顕在的であれ潜在的であれ圧力をかけて妨害するという行為は、公正な取引を考えるうえで正しいことなのでしょうか? そういったことは独占禁止法や下請法等の現行法で明確に違反とできないのかもしれませんが、業界大手が優越的地位の濫用して個人事業主を排他するのは、各法の理念からするとコンプライアンス上の問題がある状態だろうと思います。コンプライアンスは単に法の条文を守ることだけではなく、法の精神に尊重して行動することですから。 同時に、このような排他は、職業選択の自由への侵害という側面もあると思います。 さらに別の側面では、芸能事務所の封建的な構造が前近代的な暴力団構造との親和性を孕むかと考えます。封建的かつ相互監視的なギルド形態を平時にはとっている暴力団的な労務管理システムは、確かにかつての鉱山・港湾・工事現場など、人手を沢山集めて、その中で内部モラルと安全を確保する上で、時代的制約の中で一定の意義はあったと思います。 しかし、現代的な人権を擁護し、人間としての自由と平等を掲げ、何人も奴隷的な扱いを受けることを良しとしない今の日本社会の大前提の中では、前近代的な隷属システムは否定すべきものでしょう。 そのような観点から、芸能界における「独立意向を示した→業界追放」という業界慣例を世間は看過してはいけないと思います。どこかの産業界がそのようなことをしているのをあたかも普通のことのように報道されてしまうことは、他の業界においても事態を後退させることに繋がりかねません。ブラック企業問題なども芸能界的なルールに裏打ちされかねないのです。そして、その前近代的な仕組みが反社会勢力との親和性に繋がり、つけいれられる隙になるでしょう。 それらも踏まえて、芸能人に一方的な隷属を強いる現在の商習慣の改善と反社会集団排除のために、芸能事務所による「ショバをめぐるテキ屋的排他行為」と業界関係者のそれへの追随を禁止する新法、いわば「SMAP法」を作るべきだろうと私は考えます。 ぜひ国会議員の方や公正取引委員会の方に検討頂きたいところです。 以上、一言といいつつ、つらつらと書いてしまいました。 最近の芸能マスコミは不倫やら何やらと、芸能人に社会的モラルを非常に求める論調が多いと感じます。しかし、その一方で芸能事務所等の社会的経済的モラルについては一考だにしていないんじゃないかと感じる次第です。 SMAPのファンであるか否か、誰のファンであるか否か、とは別に、正しい関係性はなんなのかをちゃんと考えながらこの事態を見た方がいいと思いました。 そうでないと、ゆくゆくは我々自身の社会環境への感化に繋がっていくような気がして…。 |
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N 2016/01/16 20:45 |
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