【8月24日 AFP】ロシアのドーピング問題を担当している同国の調査委員会が23日、モスクワ反ドーピングセンター(Antidoping Centre Moscow)で行われていた薬物サンプルの破棄は、世界反ドーピング機関(WADA)の指示だった可能性があると主張し、一連の問題の責任を逃れようとしている。

 2015年11月に発表され、世界に衝撃を与えたWADAの第三者委員会の報告書には、1417件の検体を検査前に「意図的に破棄した」という、同センターの元所長グリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)氏の証言が含まれていた。

 ロドチェンコフ氏はその後、米国に亡命。2014年のソチ冬季五輪でも使われ、ロシアスポーツ省や連邦保安局(FSB)も深く関わっていたとされる複雑な検査逃れのシステムについて、その詳細を暴露していた。

 ロシアの調査委員会は今回、ロドチェンコフ氏がロシア反ドーピング機関(RUSADA)の元長官だったことを理由に、「彼がWADA上層部の指示でサンプルを破棄していた可能性がある」との見解を示している。しかし、ロドチェンコフ氏はモスクワ反ドーピングセンターの元所長であり、RUSADAの元長官ではない。

 調査委員会は「この仮説もほかの可能性とともに検討していく」としており、「なお、ロシア選手の薬物違反の具体的な証拠がまだ提示されていないことも、この説の裏づけとなる」と述べている。

 調査委員会は、WADAのクレイグ・リーディー(Craig Reedie)理事長、そしてWADAが7月に発表した調査報告書の執筆責任者で、ドーピング隠ぺいの責任はロシア当局にあると指摘したリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の尋問が「必要」だと主張している。

 ロシアのドーピングをめぐっては23日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)がロシアの訴えを却下し、ロシア代表選手のパラリンピック出場が全面的に禁止されることが決まった。

 これについて、ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相は「皮肉な決定」、ビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)露スポーツ相も「政治的な判断だ」と話して批判している。

 リオデジャネイロ五輪については、国際オリンピック委員会(IOC)が出場可否の最終判断を各スポーツ団体に委ねたため、ロシアは全面締め出しを辛うじて逃れていた。(c)AFP