【視線2035】センスのある大人が必要=韓国

【視線2035】センスのある大人が必要=韓国

2016年08月19日15時05分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  友人がSOSを送ってきた。「白いシャツなんてどれもそれほど変わらないだろう。どうしてそんなお金を出して買うのか?」という自分の部長の「それほど変わらない論」のためだ。服やヘアスタイルまではまだ耐えられたという。問題は仕事にまで広がったということだ。10年前に流行したスタイルのデザイン会社と契約しようという部長の旧式センスのために、精魂を込めたプロジェクトが台無しになりそうだという嘆きだった。

  青瓦台(チョンワデ、大統領府)の食事も豪華だというよりその趣向のなさが気に入らなかった。トリュフ、キャビア、ロブスター、フカヒレ…。高級料理として一次元的に連想する材料ばかりを無理やり詰め込んだようだからだ。高級材料で作っても創意的テーマがなければ良い料理にはならない。「私はフカヒレもキャビアも食べた」という自慢のほかに思い浮かぶものがないメニューだ。明らかに青瓦台の膳に上るには格が落ちた。

  「きれいな器の美味しい酒は千人の血」を云々する批判者の論理も時代錯誤的だ。弁当の底の米粒まで残さずに食べる飢えた時代ではない。庶民の食べ物を食べるからといって政治家の生活が庶民の生活になるわけでもない。

  それでも選挙の時期になると政治家のぜいたく品問題や伝統市場での遊説は必ず登場する。エルメス名品タイ、600万ウォン(約55万円)台の高価な椅子などは、政策より大きな問題になる。当事者は「プレゼントだ」「中古で買った」という苦しい言い訳をしなければいけない。自分が気に入ったから買ったと勇気を出して話す人はいない。

  少しぜいたくしたところで何が問題になるのだろうか。今の若者にはセンスがある大人が必要だ。大韓民国は費用ばかり強調するため同じマッチ箱のようなマンションに暮らし、効率ばかり考えるため最短距離で連結された直線型の橋で埋まった都市を譲り受けた。今はもう他の先進国のように何か余裕と粋、趣向を持つ時代になったのではないだろうか。最近の若者は自分が好きなことにお金を使うのは問題ではないという時代になった。

  英国は還暦を過ぎた年齢でも豹柄の靴や革ブーツを好んで履くメイ新首相について、彼女の言葉を引用して「賢くてファッションも好き」と自慢する。数百万ウォン台のヴィヴィアンウエストウッドスーツを好んで着る彼女の就任に服の価格は話題にならなかった。英国は指を差すよりも彼女のセンスがもたらす新しい雰囲気に期待した。

  私たちも一度くらいは自分の堂々たる趣向で高価品をめぐる論争を鎮める姿を見てみたい。過去の大統領選挙で高価な椅子のため論議を呼んだ文在寅(ムン・ジェイン)大統領候補が「私は美しい椅子が好きだ。チャールズ・イームズのラウンジチェアは無理をしてでも一度持ってみたい夢の椅子だった。1956年から売られている椅子が60年過ぎても600万ウォンで売れる理由について悩んでいる」とし、高付加価値産業に対するビジョンで正面から立ち向かっていればどうなっていただろうか。むやみにぜいたくだと非難されていただろうか。

  ク・ヘジンJTBC社会1部記者
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