【球界ここだけの話(643)】
西鉄(現西武)黄金時代に遊撃手として活躍した豊田泰光さん(享年81)の葬儀・告別式が24日、東京・品川の桐ヶ谷斎場で営まれ、名コンビが“復活”した。
通夜、葬儀・告別式の司会を務めたのは文化放送ライオンズナイターで長年実況を務めた戸谷真人アナウンサー(70)。新日本プロレスの中継で人気アナウンサーになった古舘伊知郎が手本にしたほど過激な実況の戸谷アナと「激舌」解説の豊田さんのコンビは番組の名物だった。
ライオンズナイターは「はっきりいってライオンズびいきです!!」をキャッチコピーに、日本初の応援放送として1985年にスタート。しかし、あまりに西武寄りの過激な放送に、他球団のファンから襲われそうになったこともあるという。
戸谷アナは「何度も身の危険を感じた。阪神との日本シリーズ(1985年)のときに、豊田さんが『阪神の帽子を買ってこい』といって、甲子園で帽子をかぶって中継したこともあった。あのスタイルが認知されるまで、3年ぐらいかかったよ」と懐かしそうに振り返った。
こんなことも、強かったからこそ。そんな西武も今や、クライマックスシリーズ出場圏内から大きく引き離された5位に低迷。ライオンズナイターのスタッフは「番組を開始してから30年、こんなに弱かった年はない。何を実況していけばいいのか…」と頭を抱えている。
確かに2013年までは、必ず9月までは優勝争いを演じていたし、一昨年、昨年もここまでひどくはなかった。戸谷アナも「ライオンズは何でこんなチームになってしまったんだ。頑張っている選手は一握り。このまえも中継をみていて、頭に来たよ」と惨状を嘆く。きっと豊田さんも同じ思いだろう。
今の西武の試合を豊田&戸谷コンビが中継していたら、どうなっているだろうか? 聞いてみたくなった。(塚沢健太郎)