※2016/8/23 リライトしました。
ドラねこ書店 おすすめの本64
ちわ!お久しぶり。(*´∀`*)
皆さんおもしろい本、読んでますか?おいさんです。
参院選が終わり、あの狂乱からもう一ヶ月以上が経つね。
世間では情けない都知事選や、天皇陛下のお言葉や、リオ五輪ですっかり過去のものになった感があるけど、この国はこれからもアベノミクスみたいな金融政策が続けられて、日本はどんどん貧富の差が広がり、今アメリカが陥っているような1%の富裕層が国全体の富の40%を吸い上げるようなウルトラ格差社会を生むかもしれないね。
そんな時代が到来しそうな今この時、
わしらはこのアベノミクスの失敗から何を学び取るべきなのか?
そこで今回は「99%対1% アメリカ格差ウォーズ」について考えてみたよ。
99%対1% アメリカ格差ウォーズ
今やアメリカが、先進国から「第三世界」に転落しつつある。
第三世界とは、ほんの一握りの金持ちが国を支配していて、他は全て貧しい状態のことをいう。 言うまでもない、それは経済が崩壊しつつあるからだ。
しかし、TVなどを見ていると今アメリカは景気が良いという。
でもそんなものは眉唾だろう。
この本を読んでいくと、今や国民の富のほとんどをわずか1%の富裕層に独占されたアメリカが、どれほど苦しみ抜いているかがよくわかる。もしかしたら、アメリカの好景気もほとんどが富裕層のみが享受しているものなのかもしれない。
しかしそれでは本当に景気良くなったとは言えないだろう。
好景気事態、もしかしたら「幻」なのかもしれない。
つまり今のアメリカの好景気も長くは続かない。
そんな現状を、ついこの間まで日本人も味わったはずである。
TVなどメディアを通してアベノミクスの失敗がささやかれる前までは……。
あの「日本の景気が上向いている」という報道は嘘だった。
いまや消費税の増税で消費は落ち込み、回復しないまま物価だけは上がり続けている。政府は消費税を更に増税することを躊躇し、なんともゴタゴタしているような気がするね。
ハッキリ言おう。アベノミクスは失敗だった。
なぜなら消費税を先送りするということが、アベノミクスの失敗を自ら告白していることに他ならない。
はっきり言って前回の選挙もムダなもののように思える。
今さら国民がアベノミクス以外の選択肢を選びとるとは到底思えない。
このままいけば、きっとアベノミクスの反動で日本もアメリカのように1%の富裕層と99%の貧困層に分かれる日が来るだろう。
でも、そうなってからではもう遅い。
何故ならアメリカは既に第三世界の道を歩み初めているからだ。
いまや子供の2割が貧困の中で暮らす国
本書を読んでいると、そうしたアメリカの現状がつぶさによくわかる。
アメリカはオバマが大統領になってから、必死にあの大国を立て直そうとしているようだが、様々な抵抗にあってその努力も無に帰りそうだ。
この間の選挙を見ていとそれがよくわかる。
あの国はもうすで様々な巨大企業に占拠されすぎていて、思うような改革ができない状態にあるのだ。
本書でバーニー・サンダース上院議員はこう言う。
この国のメディアはすでに巨大企業に独占されすぎている。もっと多様性が必要だ。もっとたくさんの視点が必要だ。共和党支持の巨大メディアは一つで十分だ。
「99%対1% アメリカ格差ウォーズ」p135
これはオバマが様々な改革を実行しようとしても、24(トゥエンティーフォー)などを制作したFOXニュースなど右派偏向メディアや、巨大石油資本に裏で操られている「ニセ草の根運動」のティーパーティーなど保守派勢力によってほとんどが実行できずにいる。
この国は、80年代レーガンから始まった新自由主義の政策によって、もはやメディアなどの自浄作用も失い、自らを改革する力を失くしてしまっている。
国民皆保険を謳ったオバマも、結局はオバマケアという妥協案に引き下がってしまったのが良い証拠だろう。
もはや大企業に増税することも出来ずに富の再配分もうまくいかないアメリカは風前の灯火と言っても良い。
もちろん、いますぐにあの大国が倒れるなんていうつもりはないが、
これからもっとアメリカの力が衰えていくのは必然のようだ。
いま安倍が行っているアベノミクスも、
結局は国民に税金を課して、大企業を大幅に減税し、金持ちに有利な政策が進められている。
今日本では貧富の差が開くような新自由主義を推し進める政策ばかりである。
このままでは日本もいずれはアメリカが陥ったようなウルトラ格差社会が到来する事態になってしまう。
「そうなる前に総選挙で!」と思うのだが、きっとムダであろう。
国民は結局はこのままアベノミクスを支持していくしかない。
なぜなら「じゃあ他に何があるんだ!?」という、
自分の頭で考えないニヒリズムが蔓延しているからだ。
ニヒリズムが日本を滅ぼす
サンダース上院議員は続けてこう言う。
「1992年から2007年までの15年間にトップ400の富豪に対する税率は半分に減りました。そして彼らの年収は、ブッシュ時代だけで2倍以上になりました。」
「07年には、アメリカで最も富める上位は1%が国民全体の収入の23・5%を独占する事態になりました。上位1%の年収はアメリカの下位50%の国民すべての年収を足したよりも多いのです。」
では、富豪以外の99%の国民はどうなっているのか。
中流の平均年収はインフレを計算に入れると、日に日に減少している。中流から貧困層に脱落した人々も多い。
「現在、アメリカの子供の2割は貧困のなかで暮らしています。この割合は先進国中で最大です。たとえばオランダの貧困層はわずか7%にすぎません。これがアメリカですか?」
そこに追い打ちをかけたのは08年の金融危機だ。
サンダースは、その犯人を「ウォール街の詐欺師ども」とはっきり指弾した。
「クリントン政権は必死に財政赤字を削減し、任期の終わりには黒字に転じていました。それがブッシュ政権でいっきに史上最大の債務に落ち込んだのです。その原因は、金持ちへの無茶な減税、理由なきイラク戦争、ウォール街の詐欺師どもによる金融危機、そして破綻した彼らの会社を救うための公的資金投入です。国民の血税から公的資金を受けたウォール街の重役たちは、何千万ドルもの給料を自分たちに支払い、しかも減税を受けています。」
p140・141
こういった今の共和党が聞きたくないようなアメリカの現実を、8時間半もの大演説で議会でぶちまけるのだ。
しかしそうした声は、アメリカを失敗に導いてきた共和党の議員たちには届かない。
30分で判る 経済の仕組み Ray Dalio - YouTube
そんな中、「ウォール街を選挙せよ」運動が開かれた小さな公園で、70年カナダ生まれの批評家でブロンドのナオミ・クラインという女性は立ち上がり、こうスピーチする。
「失業率は低く、株式価格は上がり続けていました」
クラインは08年まで続いた金融バブル時代に何があったのか振り返る。
「メディアもバブルに溺れ、企業の話ばかりで、倒産などないかのようでした。好景気のなか、労働者の権利は軽んじられました。大企業は政府よりも強大になり、民主主義をふみじにりました。景気がいいと、資本主義システムはあまり批判されません。特に豊かな国では。
そして10年後の今、豊かな国など地球のどこにもありません。ただ、豊かな人々がいるだけです。民衆の富と自然資源を搾取して肥え太った人々だけが!」
p227
こうした演説を読んでいると、わしは決して人事とは思えない。
同じようなことを一昔前の構造改革時代の小泉政権でも盛んに聞かれた話だからである。
しかし、アメリカは公的資金を注入して金融業界を復活させても景気は良くなっていない。
注入したカンフル剤の後の、急激な反動によって予想外の貧困が更に広がってしまっているからである。
同じような道をこれからさらに突き進もうとしている今の安倍政権にこれがどう映っているのだろう?
これを対岸の火事として見過ごしていて良いのだろうか?
これから大不況が訪れる前に
最後に本書のあとがきで著者の町山智浩氏はこんな文章を書いている。
僕はアメリカに限らず、世の中にはジュビリーが必要だと思う。ジュビリーとは、旧約聖書にある「ヨベルの年」のこと。50年毎に地主は土地を手放し、債権は帳消しになり、奴隷は解放される。富と権力はどうしてもだんだん集中して格差が広がって身分が固定化されるから、いったんはチャラにして再出発すべきだ、というユダヤの考えだ。実際に行われたかどうかは確認できないが、その代わりに戦争や革命という「仕切り直し」が起こってきた。
(中略)
ニューディール政策が破綻してから新自由主義が始まるまでの70年代、アメリカは指標を失って10年間も迷走した。
08年の金融崩壊からまだ4年しか経っていない。まだしばらく混迷は続くと思われる。そのあいだ、ずっとアメリカに追従してきた日本はどうするのだろう?
p301
わしら日本人こそ、深く考えたい言葉である。