サバの漁獲量急増 日本が規制強化を提案へ

サバの漁獲量急増 日本が規制強化を提案へ
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北太平洋の公海上の漁業資源の保護を話し合う国際会議が24日から東京で始まります。このところ、中国によるサバの漁獲量が急増して将来的な資源の減少が懸念されることから、日本は参加各国に規制の強化を提案する方針です。
この国際会議は、サンマやサバ、アカイカなど北太平洋の公海上の漁業資源の保護について話し合うもので、日本をはじめ中国、台湾、ロシアなど6つの国と地域が参加して24日から東京で3日間の日程で行われます。
この会議で、日本の水産庁はサバのうち、「マサバ」の漁獲について規制強化を提案する方針です。
北太平洋の公海上では、このところ中国漁船が数多く確認され、中国によるサバの漁獲量は去年は前の年の5倍余りに急増していることから、将来的な資源の減少が懸念されるとして、日本は参加各国に操業する漁船の数をこれ以上増やさないよう提案することにしています。
また、北太平洋の公海でサバなどの漁を行うには、去年から漁船を登録することが必要になっていますが、無登録のまま漁を行っている事例も確認されているとして、監視を強化することも求めることにしています。
この国際会議では去年、台湾や中国の漁獲量が急増していたサンマについて当面の間、漁船の数を急激に増やさないことで一致しましたが、規制の強化をサバにも広げようという日本側の提案には、中国や台湾の反発も予想され、議論が難航することも予想されます。

中国漁船 公海で大量に漁獲か

水産庁はサバの漁場となっている北海道の道東沖や三陸沖など、日本の排他的経済水域の境界線に近い公海で数多くの中国漁船を確認し、サバを大量に漁獲している可能性があるとしています。
北太平洋の公海上で確認された中国漁船の数は、2015年は1年間で194隻、ことしも8月1日時点で127隻となっています。
また、中国が北太平洋漁業委員会に報告した公海でのサバの漁獲実績は、3年前は報告がありませんでしたが、おととしは漁船の数が20隻で2万4629トン、そして去年は80隻に増えて13万4846トンと、5倍以上に増えています。
一方、日本は公海でのサバの漁獲実績はほとんどなく、日本の領海内や排他的経済水域内での漁業が主体となっています。
太平洋のサバの資源をめぐっては、実は日本も過去に苦い経験がありました。
1970年代までサバのうち「マサバ」の資源量は、推計で300万トンから500万トンに上っていましたが、日本の漁業者がとりすぎたことが原因となって資源量が減少し、2001年には一時15万トンまで落ち込みました。
このため、日本はサバの漁獲量に上限を設けるなど資源保護に取り組み、2014年には資源量は150万トン程度まで回復したと見られています。
水産庁は今のペースで公海上で中国の漁獲量が増え続ければ、将来的にサバの資源量が減少するのではないかと懸念しています。

専門家「漁獲量の規制 国ごとの枠設定を」

水産資源の管理に詳しい東京海洋大学の勝川俊雄准教授は「漁船が増え過ぎると、『魚が減ったから漁をやめよう』ということにはならず、小さい魚でもとろうといった思惑が働き、何らかの形で資源を傷つけてしまう。過剰な漁船を出さない仕組みが今まで欠けていた」と話していました。
また、今後の資源管理のあり方については「漁獲量の規制ですね。それぞれの国にこれ以上はとってはいけませんよという枠を設定して、みんながとっても次の世代に十分な資源が残るような仕組みを多国間でつくっていく必要がある」として、長期的には国ごとに漁獲量の上限を設けることが必要だという考えを示しました。