ストーカーに教えてもらった『世の中はお金が大事』だって話。

 

はいどうもー。まるじです。

 

ストーカーって女性が遭うものという認識が一般的だけどさ。

 

男も遭うんだよ。

 

 

昔ね。なかなかハイレベルな方がいてさ。昔ね。昔。もう14年前。大学で野球やってた時。

 

 

ここから先はいつもどおり長いから、ヒマな人だけ読んで。

 

 

 


友達の友達の友達にメールアドレス聞きました。


 

ぶぅぃーーーん。ぶぅぃーーーん。

 

携帯が震えた。メールだ。

 

 

『はじめまして。●子って言います!金〇くんの友達の友達の友達にメールアドレス聞いて連絡しちゃいました(>_<)良かったらお友達になってください☆』

 

 

出会い系ですか??

 

 

いや。でも金〇の友達って書いてあるし。

 

 

『聞きました!』って。個人情報も何もあったもんじゃないけど。まぁいいか。

まぁ好意を抱いてくれることは嫌じゃないし、誰かに認めてもらうってのは嬉しいことだ。

 

だからまぁいいんだけど。

 

 

いいんだけど。

 

 

友達の友達の友達って。

 

遠すぎるよね。もうすでにちょっと怖い。

 

稲川淳二の怖い話ぐらい怖い。

 

 

怖いし正直めんどくさいからスルーしても良いんだけど、先輩の加藤さんのために合コン組まなきゃいけない。

だからここはひとつ大人の対応を。

 

『メールありがとうございます!全然お友達になってください☆よろしくお願いしまーっす!』

 

的なメールを返したと思う。まさかストーカー化するとはつゆ知らず。。。

 

 


パワフルプロ野球と森三中と深田恭子。


 

僕は加藤さんのために、ただそれだけのために連絡を取り合っていた。なんとしても合コンを組んで加藤さんを童貞から卒業させなければならないのだ。

 

そんなある日、『ねぇ。電話してもいい??』とメールが来た。

 

いまはみんなでパワフルプロ野球9をやっているから忙しい。練習後も野球のゲームをするって。みんなやっぱり野球好きだったんだなぁって思うけど。

 

大学の野球部のパワフルプロ野球はなかなかハイレベルだ。高度で精細な配球の読み合い野手の細かい守備位置の変更はもちろん、選手のデータを元に対戦相手ごとの作戦をこと細かに変えていく。

 

対戦相手といえど、同じ大学の野球部の仲間だ。そいつの作戦の取り方でそいつの野球感を知ることができる。この場面はそういう作戦に出るのか。ふむふむ。みたいな。

 

そのうえ『今日の練習でコイツにあのボールを打たれたから、ゲームではこのボールを投げて打ち取ってやる!』みたいなリアルの野球の続き的な要素もあったりして、毎日非常に盛り上がっていた

 

だから電話はめんどくさかった。けど、僕は加藤さんを童貞から卒業させなければならない。

 

その加藤さんはいま一緒にパワフルプロ野球をやっている。

 

 

まるじ『加藤さん。例の子が電話したいって言ってますけど。』

 

 

加藤『すぐかけろ。いますぐだ。』

 

 

ま『御意』

 

 

ということでその場で電話した。何の話をしたかはあまり覚えてないけど、

 

 

 

加『おぃ…芸能人だと誰に似ているって言われるか聞け。』

 

って耳元で言われたのは覚えてる。

 

御意。と心の中で唱え

 

 

 

ま『芸能人だと誰に似てるって言われんのー??』

 

 

●子『えー。そうだなぁ。よく言われるのは森三中深田恭子足して2で割った感じって言われるー笑』

 

 

ま『そ、そ、そっかぁ。じゃあグラマー系なんだね。ハハッ 』

 

 

って返したかどうかは定かではないけど、とりあえずぽっちゃりされている方であるという情報をつかんだ。

 

以後、『森 恭子』とさせていただく。

 

 


ねぇ。来ちゃったんだけど。


 

『ねぇ。来ちゃったんだけど。』

 

 

このセリフはドラマとかでたまーーーに見るやつだ。実際に耳にすることができるとは思ってもみなかった。

 

 

森『ねぇ。来ちゃったんだけど。寮の裏。』

 

 

なんと。ほんとにすぐそこに来ちゃってるらしい。

 

もう結構遅い時間だけど。しかもパワフルプロ野球も盛り上がっている。

めんどくさい。けど加藤さんのために行くしかない。

 

 

 

ま『お。おぅ。じゃあすぐ裏まで行くよ。』

 

と階段を降りた。

 

 

ガシャ…。

 

 

裏口の扉を開けた。

 

 

 

 

森『いやーーーー!ちょっと待って!ちょっと待って!無理無理!私、いま化粧してないの!ちょっと待って!ちょっtttewm3kwg0*e,@siずot!!!!』

 

 

と言って急遽30メートルほどダッシュで下がって電柱の影から顔を覗かせてこちらを見ている。

 

 

dentyuu

 

 

 

森『ほんと。化粧してないから。化粧してないから。』

 

と言って一向に出て来ない。

 

ま『そっか。じゃあまた化粧してる時に…笑』

 

と言って僕は寮に戻った。

 

 

何しに来たん?

 

 

暗闇だったがシルエットは間違いなく森三中のうちの誰かだった。

 

 

 

 


 ドキドキさせなくちゃ。


 

その日から彼女は毎晩、寮の裏にいた。ストーカーとしての始まりだった。

 

何度かメールで呼び出されたが、降りていくと『化粧してないから』といってまた隠れる。

 

ってか化粧して来いや。

 

いや。本当は化粧ばっちりなんかも知らん。

 

けど毎度隠れられたら、さすがにめんどくさい。

 

 

僕はメールをシカトし始めた。

 

 

しかし彼女は毎晩、寮の裏にいる。時には後輩を使って『まるじ君を呼んできてもらえませんか』と呼び出す。

 

しぶしぶ降りていくとまた隠れる。

 

彼女が寮の裏の電柱に張り付いて1ヶ月が経った頃、後輩が『電柱の人がまるじ君に渡しといてくれって。これ。』と紙袋を渡してきた。

 

中身は手作りケーキとお手紙だった。

 

 

 

怖い。

 

 

いや嬉しいけど、毎晩電柱の裏にいる人の手作りはさすがに怖い。

 

 

申し訳ないけどケーキは全部後輩のテツが食べました。美味しかったそうです。

 

それ以降も彼女は毎晩電柱に張り付いていた。そしてたまにクッキーとか作って差し入れをくれる。

 

ぜんぶテツが美味しく頂いてたけど。

 

 

台風でどっしゃぶりの日にも紙袋が届いた。

 

 

中にはヴィレッジバンガードで買ったとおぼしき詩集が入っていた。

 

 

しおりが挟んである。僕はそのページをそっと開いた。

 

 

 

 

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どーいうことやねん!!

 

もっとドキドキさせろってことでしょうか。台風の中これを渡しに行くという行為よりドキドキさせる自信を僕は持ち合わせておりません。とりあえずこの本はこのページを開いて隣の増井くんの部屋にこっそり飾っておきました。

 

 


やきゅうがんばって


 

そんなこんなで半年が経った。毎晩彼女は電柱の裏にいる。

 

雨の日も風の日も。世の中のストーカー尊敬しちゃうレベル。

 

もう僕はまるで相手をしなくなっていた。周りからは『おまえ絶対刺されるぞ(笑)』と言われていた。

僕もそんな気がしていた。正直本当に怖かった。

 

 

しかし季節は巡り、野球のシーズンが始まってしまった。

 

『明日の試合応援に行くね!!』

 

と彼女からメールが来ていたが、いつも通りスルーを決め込んだ。

 

 

僕はケガをしていて、その日はスタンドからの自チームの応援に回っていた。

 

辺りを見渡すと……いる。彼女は30メートル後ろの席にいる。いつもの電柱の距離だ。

 

スタンドで応援しながら刺されるのはさすがに嫌だったので必要以上にハラハラしながら試合を見守っていた。

 

話しかけられるのが嫌だったので試合が終わった瞬間、増井くんと一緒に最寄りの駅へと急いだ。

 

相当早歩きだったと思う。後輩に『競歩の練習ですか?』と言われてもおかしくないくらい急いだ。

 

 

歩道橋を渡れば駅だ。

 

 

『まるじくーーん!!まるじくーーーん!!』

 

 

 

聞こえる。声の感じからしてまだ距離はあるが、確実に追ってきている。増井くんと一緒に早歩きで歩道橋を登った。

 

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すぐそこは駅だ。急げまるじ。

 

僕たちは歩道橋を登り、渡り、降りた。

 

 

 

 

 

森『まるじくんっ!!』

 

 

ビクッッ!!!!!!!!!!

 

 

何と歩道橋降りたら彼女が片側3車線の道路を突っ切って横から現れたのだ。

 

 

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森『まるじくん…!ハァッハァッまる…まるじくん!げふぉっ。こ…これ作ったの!受け取って!!

 

 

ドンっと紙袋を渡された。

 

重い。

 

森『じゃあ私行くから!!』

 

と言って吸い込まれるように駅に消えていった。

 

僕たちはあまりにビックリしすぎて4本分くらい電車をスルーして、とぼとぼ帰った。

 

紙袋の中身は巨大なプリンだった。プリンの素を一箱使い切ったくらいデカかった。

 

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どうなってたかほとんど覚えてないけどチョコみたいなもので大きく『やきゅうがんばって』って書いてあったのは覚えてる。

 

 

美味しかったってテツが言ってました。

 

 

 

 


森さん最後の日。


 

僕は試合に出れたり出れなかったり、選手として歯がゆい時期を過ごしていた。

 

そんなある日、練習終わりに携帯をチェックすると森さんからメールが。

 

 

『伝えたいことがあるので今日20時に〇〇〇公園で待ってます。』

 

〇〇〇公園は寮のすぐ隣の公園だ。

 

 

来てしまった。ついにこの日が。ストーカーと決戦の時だ。

 

 

まず僕はチームメイトに相談した。

 

 

『やめとけ。刺されたらシーズン終わるぞ』

 

ごもっともな意見を多数頂戴したので、大人しくパワフルプロ野球をして過ごすことに。

 

各自選手を育ててきているので更にハイレベルな戦いになっている。その日も実に盛り上がった。

 

 

 

盛り上がりすぎて忘れてた。

 

 

けどもう日付も変わってるし寝ることにした。それが答えですという事にしておこう。

 

翌朝、朝練が終わり、携帯をチェックすると

 

 

 

『朝練が始まったようなので、私は帰ります。楽しかったよ。ありがとう。さようなら。』

 

 

 

 

朝8時まで待ってらっしゃったんですか。。。

 

 

 

怖い。けどなんか申し訳ない気持ちもある。けどやっぱり怖い。向こうに悪気がないのも知ってる。

 

けど怖いよ。

 

半年間、毎晩、寮の裏にいられたら怖いよ。

 

 

それ以来、森さんは寮にも球場にも現れなかった。

 

 


数年後…。


 

っていう事があったんだー。

 

 

って鉄板焼きを焼きながら、常連のお客さんにこの話しをしてた。

 

 

 

常連さん『野球やってる人ってモテるよねー。私の友達も追っかけてたなぁ。毎日通ってたよ。』

 

『やっぱそういう人いたでしょー?まぁ自分が好きになった人からはモテないんだけどねー。』

 

『そういうもんだよねー。』

 

『そういうもんだよー。』

 

『その子も毎日〇〇大学の寮まで行ってたもんねー。』

 

『え?』

 

『〇〇大。』

 

『〇〇大??って〇〇大??』

 

『〇〇大って〇〇大。』

 

『もしかして友達って森さん?』

 

『森さん!!!』

 

『マジかよ!』

 

『えーーー!ノリくんってまるじの事ー!?』

 

『そう。おれノリくん。下の名前ノリくん。』

 

『まじでー!?でも付き合ってたんでしょー?  私ね彼氏できたのーー♪って学食でまるじの写真みんなに見せまくってたよ』

 

『いやいや!ちょっと待ってよ!そのような事実は一切ございません!!』

 

『えー!そうなのー!?違うのぉ!? そっかぁ。そうなんだぁー。でも見せられてたあの写真まるじだったのかぁーー!』

 

 

 

 

という出来事が起こった。世間狭すぎる。ってか森さん。ウソはよくない。

 

 

 

常『今は楽天の選手追っかけまわしてるらしいよ』

 

 

 

なんと!!!!

 

 

どうやら世の中やっぱりお金が大事らしい。そういうもんか。

森さんが玉の輿に乗ったら逆に僕がストーキングしてお小遣い貰おうと思います。

やられたらやり返す!!!けっこー怖いぞ!!!覚悟しとけ!!!