ロシアのパラリンピック出場 極めて厳しい状況に

ロシアのパラリンピック出場 極めて厳しい状況に
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国家主導のドーピングを理由に、ロシア選手団のリオデジャネイロパラリンピックへの参加を認めないとしたIPC=国際パラリンピック委員会の決定について、CAS=スポーツ仲裁裁判所は23日、取り消しを求めたロシアパラリンピック委員会の訴えを退ける裁定を出しました。ロシア選手団のリオデジャネイロ大会への参加は極めて厳しくなりました。
一連のドーピング問題で、IPCは今月7日、ロシアパラリンピック委員会の資格を停止し、ロシア選手団のリオデジャネイロパラリンピックへの参加を認めないと発表しました。
これに対して、ロシアパラリンピック委員会は11日、処分の取り消しを求めてCASに提訴しました。
CASでは、聴聞会を行ったうえで23日に裁定を発表し、このなかで「IPCが決定に至るまでの過程に間違いはなく、ロシア側は、決定を覆す証拠を提出できていない」などとして、ロシアパラリンピック委員会の訴えを退け、IPCの決定を支持しました。
CASの裁定については、ごく僅かな場合を除いて上訴することはできず、ロシア選手団のリオデジャネイロパラリンピックへの参加は極めて厳しくなりました。

ロシアは強く反発

ロシアは強く反発しています。このうちムトコ・スポーツ相はロシアのメディアに対し、「今回の裁定は法律的というよりは政治的なものだ」と述べたうえで、「参加を拒否する十分な理由がないにもかかわらず、認めなかった」として、十分な証拠がないにもかかわらず今回の裁定が下されたと反発しました。
また、ロシア下院のレベジェフ副議長は「IPC=国際パラリンピック委員会の判断は尋常ではない。全くばかげている」と述べ、IPCの対応を強く非難しました。

IPC会長「ロシアを変えるきっかけに」

IPC=国際パラリンピック委員会のクレイバン会長は、CAS=スポーツ仲裁裁判所がロシア選手団のパラリンピックへの参加を認めない判断を支持したことについて、「パラリンピックにドーピングは絶対に許さないという、われわれの強い信念が認められた。ロシアを変えるきっかけになることを願っている」とコメントを出しました。

専門家「極めて妥当な判断」

スポーツ倫理学が専門でドーピング問題に詳しい早稲田大学の友添秀則教授は「極めて妥当な判断だ。国際パラリンピック委員会は、ロシアパラリンピック委員会が機能不全を起こしていると判断し、CASもその判断を覆す理由は全くなかったということだ。非常に重い裁定で、これによってロシアの選手は参加は事実上不可能になったといえる」と話しました。
そのうえで「ロシアはパラリンピックの強豪と言える国であり、大会にとって大きな打撃だが、出場を認めてしまうと大会そのものが社会的な支持を得られなくなるとIPCは判断し、CASも追認した」と分析しました。
さらに、リオデジャネイロオリンピックでは、ロシア選手の出場が条件付きで認められたことに触れ「今回、パラリンピックにおいて、より厳格な判断がされたということを国際オリンピック委員会は学んでいかなくてはならない。ダメなものはダメだとはっきりと線引きをしないと、今後に大きな課題を残すことになる」と話しました。