8プロフェッショナル 仕事の流儀「経営者・川上量生」 2016.08.22


皆さんはふとこんな事を思った事ありませんか?「人間の幸せ」って何だろう。
皆さんにとっての幸せとは何でしょうか。
今日の「プロフェッショナル」はこの根源的な問いにインターネットの世界から考え続けている起業家です。
「ニコニコ動画」。
略して「ニコ動」。
動画にコメントをのせ大勢で盛り上がる機能がうけ動画投稿数日本最大級を誇る。
思った事をただ書き込むだけ。
しかしこのサービスを生み出した男は違う世界を見ている。
独創的なサービスを生み出す経営者。
動画サイトや一世を風靡した高音質の着信メロディー。
常識破りの企画を次々とヒットさせる。
だがそこには突拍子もないひらめきはないと言い切る。

(主題歌)今あらゆる業界から注目される川上。
社員1,000人を束ねる経営者でありながら現場主義を貫く。
この春新たなビジネスとして始めた通信制高校。
だが開校直後予想外の問題に直面した。
その時下した川上の決断。
時代を切り開くIT企業経営者。
その哲学に迫る。
この男つかみどころがない。
川上の会社はエンターテインメント分野で日本指折りのIT企業。
動画サイトの運営を中心に年間300億円以上を売り上げる。
川上は創業者。
現在は会長職に就いている。
自席に着くなり始めたのは仕事ではなく通勤中気にしていた数学だった。
どうにもつかみきれない川上。
だがこうした取りとめもない事にこそアイデアの泉があるという。
川上の一日は打ち合わせの連続だ。
その中で次々と経営判断を下していくのが川上の仕事。
この日の会議はバーチャル・リアリティの技術を使った新サービスについて。
デスクトップの見た感じは…。
特殊なゴーグルをつけるとパソコン画面が立体的に見える。
顔の向きに連動してパソコン画面を自由に見る事ができる。
開発した社員はメールの着信などを通知するキャラクターをいくつも販売しビジネス展開する事を考えていた。
川上は即座にキャラクター販売をビジネスの中心に据える案を却下。
別の展開を考えるべきだと結論づけた。
1,000人の社員とともに常に15ものプロジェクトを抱える川上。
どんな企画にも川上が貫く一つの大原則がある。
その鉄則は川上が10年前に生み出したインターネットの動画投稿サイトにも当てはまる。
2000年代初頭インターネットの通信技術は大きな進歩を遂げていた。
それに伴いアメリカで画期的な表現の場が誕生した。
世界中から次々と自作の動画が投稿された。
この社会現象を川上は別の角度から見ていた。
楽しんでいるのは動画を作って投稿した人。
動画を見ている人は本当に楽しいのか。
そこで川上は視聴者が感想をコメントする事で表現者となりえるプログラムを開発した。
文字は感情がダイレクトに伝わり入力も簡単。
ヒットを予感した。
事業をスタートさせるや瞬く間に若者たちの心をつかみ有料会員250万人を数えるオバケコンテンツとなった。
「無いものを作る」という川上のシンプルな哲学。
そしてそれに加え川上には追究し続けるあるテーマがある。
人間の本質だ。
人間は理想だけでは生きていけない。
食事と同じく楽しめるメニューが豊富な方が人生も面白い。
川上はそう信じている。
会社が配信しているネット番組の会議での事だった。
地方競馬の中継が始まる事を聞いた川上。
あるひらめきを口にした。
会社で競争馬を育てその過程をネット配信しようという。
ゲームではなく実際に馬を育てレースを目指す。
競馬ファンならずとも心躍る企画だ。
だが…。
川上は新しい企画を立ち上げる時なぜそれが今までなかったのか必ず分析する。
これまでに無いものを作るため川上が決してゆるがせにしない流儀がある。
本物の競争馬を育成する企画は本当に実現できるのか。
あらゆる仮説を立て分析していく。
課題はクリアできると判断。
実行に移すと決めた。
時代の寵児とも言われる川上は若者だけでなく世代を超えて支持を集める。
その魅力は世の中を感じとる感覚だという。
2年前には大手出版社が熱烈なラブコールを送り川上の会社と経営統合を果たした。
川上さんには週に1度必ず足を運ぶ場所がある。
アニメ制作会社のスタジオジブリだ。
5年前からここでプロデューサーの仕事を学んでいる。
異分野に触れる事で発想の引き出しを増やしたいと考えた。
更に最近数学の勉強も始めた。
自ら専門家を雇い4時間かけて高度な理論を学ぶ。
アイデアの幅を広げる事に貪欲な川上さん。
歩んでみたい人生の道がある。
4月下旬。
千葉・幕張に2日間で15万を超える人が押し寄せた。
川上の会社が主催する年に1度のお祭りだ。
動画サイトの世界観を会場内で再現しその様子もネットで生配信している。
リアルな世界とネットの世界を同時に楽しめる画期的なイベントだ。
今年で5回目を迎えるこの企画を発案したのも川上だった。
実はこのイベントはいつも赤字。
会社のもうけにはならない。
だが川上は何ものにもかえがたいものが得られるという。
今年のイベントではリアルな歌舞伎役者とバーチャルアイドルが初共演し話題を呼んだ。
どんなに赤字を出そうとも川上がこのイベントにこだわるもう一つの理由がある。
それはこれまでに無いものを体験する喜びを多くの人たちと分かち合いたいという事。
この日川上さんは新しい企画の提案を受けていた。
人工知能を持った生物の育成ゲームだという。
多くの人を熱狂させるサービスを次々と世に送り出してきた川上さん。
その原点は意外にもある戒めにあった。
大阪に育った川上さんは高校卒業後京都大学に入学した。
出来たばかりのパソコンサークルに出会った。
夢中になったのはパソコン通信。
場所を超えさまざまな人と交流できる事が楽しくてしかたがなかった。
1991年。
川上さんはパソコンソフトの小さな卸売り会社に就職した。
時代はインターネット勃興期。
川上さんの会社は大手企業とのソフト販売競争に敗れ倒産。
入社6年目の事だった。
再就職が決まらない中川上さんはかつての取引先から起業をすすめられる。
事業内容は市場が大きくなり始めていたネットゲームの制作。
28歳の川上さんは会社を興す事にした。
社員にはインターネットで知り合った友人たちを雇った。
ネットの世界に引きこもる彼らのために仕事を用意し活躍してもらおう。
それが彼らを救う事になる。
ところが雇った友人たちは全く働いてくれなかった。
会社に来ても朝から晩までゲームに明け暮れていた。
川上さんは心を鬼にして働かない友人たちを解雇。
そして深い自己嫌悪に陥った。
川上さんは会社の経営は他の人に任せ現場仕事に専念すると決めた。
そして起業してから10年目38歳の時。
あの動画投稿サイトの事業に乗り出した。
社会的な意義はない。
でも喜ぶ人が少しでもいればそれでいいと思った。
ところがサービスを開始するや圧倒的な支持を得た。
しかし川上さんは決してその事を声高には叫ばない。
「人を救う」とうそぶき失敗した過去。
そして今も川上さんは自らを戒める。
独創的なサービスを次々と生み出す経営者川上量生!4月。
川上がスタートさせた新規事業。
インターネットを主体とした通信制高校だ。
思うように集まらない入学者。
その時下した川上の決断!ハンデを抱えて何か勝負するって事なんですよ。
それはやっぱりね覚悟を持って闘わなきゃいけないと思うんですよね。
川上が学校経営に乗り出したのは2年前。
今不登校の生徒の多くはネットに居場所を求めていると言われる。
教育関係者から川上たちネットビジネスに携わる企業の発想で高校をつくってほしいと頼まれ動き出した。
授業は動画投稿サイトのシステムを最大限に活用して進められる。
65秒前43…。
はい皆さんこんにちは。
始めたいと思います。
第3回になりました。
お元気にしてますでしょうか。
一流の予備校教師による映像授業を毎日生放送で配信。
生徒は双方向機能で授業に参加。
答案の採点や解説もその場で行われる。
前に「a」があったでしょ。
だから名詞なんだよね。
これ実は名詞でウソって意味ですね。
入学は基本的に一年中いつでも可能だ。
この学校に3年以上在籍し必要な単位を取れば高校卒業の資格が得られる仕組みだ。
ところが…。
予想したよりも入学者数が伸び悩んでいた。
どうすれば事業を軌道に乗せられるか。
今後の戦略会議が開かれた。
川上たちはてこ入れの第一弾としてネット授業だけでなく生徒が直接通える「教室」を開設しようと考えていた。
その教室に担任を常駐させ行き詰まった自宅での勉強をサポートするのがねらいだ。
その時だった。
川上が話の流れと関係なく中国語を授業課目に加えようと言いだした。
社員は困惑した。
新たに中国語を加えるとすれば相応の人材を確保しなければならない。
実現に向け必要な情報を一からかき集める事になった。
更に川上たちは学校の宣伝についても見直した。
社員から提示されたのは真面目な路線とくだけた路線の2つのPR案。
川上がこの学校の特徴をもう一度洗い出し始めた。
最大の売りは授業を受けている生徒がすぐにリアクションできる「双方向性」だ。
それをどうアピールするか。
川上は理屈で固めていく。
ニコニコっぽくやった方がいいね。
こっちの方が分かりやすいか。
川上は素早く要素を整理しアピールすべきポイントをあぶり出した。
今回の学校経営は川上としても成功に導きたかった。
そこに大きな可能性を見据えていた。
そのころ中国語の導入について検討していた社員たちは頭を抱えていた。
教育本部長が見つけたのは中国語教育の市場規模が小さいという記事だった。
更に詳しい情報を集めようと語学学校などに直接問い合わせた。
しかしどこに聞いても中国語教育のニーズは少ないという。
更に中国語のカリキュラムを新設するには2,000万ほどの費用が必要だった。
「中国語の科目新設は断念した方がいいのではないか」。
社員は川上に意見をぶつけた。
中国語の件なんですけど調べたんです。
そしたらまず中国人に聞きましたと。
学ぶ人も減ってきてると。
いう事で学ぶ事のニーズも少ないんじゃないかと。
一つは就職が有利になるかっていったらそうでもなかった。
もう一つがとはいえ中国語がしゃべれるニーズがあるのかっていったらそうもなさそう。
日本語できる中国人がたくさんいて。
日本語がしゃべれる中国人を雇って海外で展開した方が今のところいいみたいな。
予想外の報告だった。
なるほどね…。
(社員)ハングリーな中国人と闘って日本人が勝てない。
まあ安いっていうのもありますし…。
(社員)なんで一旦英語で。
そこに注力すると英語に。
う〜ん…。
じゃあ英語でどういう差別化ができるかだよね…。
競争が激しいんだよね。
(社員)将来的に就職するには有利とか何らか生かせるんだったらいいんですけど今の得た情報だと就職につながんないんで一生懸命教えたあとに何もなかったら嫌だなっていうだけ。
そうすると評判落ちるじゃないですか。
(川上)中国語ねぇ…。
う〜ん…。
常々やっぱり中国の存在感っていうのは増してくるから。
そしたらその中で中国語をずっとやってますっていうのはこれは俺は必ず生きてくると。
でも世の中の流れは中国語だから今の日本は。
絶対必要になるよ。
年間で?2,000万円ぐらい。
年間2,000万ぐらい。
それぐらいだったらやろうよ。
川上はやると決めた。
分かりました。

(主題歌)社員の言う現実に川上は理屈で返した。
経営者川上量生。
何かの双方向性機能でアクションをした時に…。
ネットという未知の世界を理屈を信じて切り開く。
今日も一日頑張っていくぞ〜!2016/08/22(月) 22:25〜23:14
NHK総合1・神戸
プロフェッショナル 仕事の流儀「経営者・川上量生」[解][字]

インターネットを通じた新しいコンテンツを開発し続けるIT企業経営者・川上量生。その動向にさまざまな業界が注目。ネット社会の新しい未来を切り開く川上の哲学に迫る。

詳細情報
番組内容
インターネットを通じた新しいコンテンツを開発し続けるIT企業経営者・川上量生。会員登録数5000万を誇る動画投稿サイトやイベント事業など、その動向にさまざまな業界が注目。「誰もやっていないものを生み出す」ことにこだわり続ける川上の流儀は「ひらめきを信じない」というもの。徹底的に理屈で考え、ヒットの要素をあぶり出す。ネット社会の新しい未来を切り開く川上。その哲学に迫る。
出演者
【出演】IT企業経営者…川上量生,【語り】橋本さとし,貫地谷しほり

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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