■派遣の即時撤退か、それとも「改憲」か?
日本から1万700㎞以上離れたアフリカの南スーダン。今なお政府軍と反政府勢力の武力衝突が続く現地には、国連のPKO活動「国連・南スーダン共和国ミッション」(UNMISS)のための要員として350人ほどの自衛隊員が派遣されている。
その自衛隊員が「戦争に巻き込まれるリスクが高まっている」と指摘するのは、平和構築学が専門でアフリカやインドネシア、アフガニスタンなどで国連の平和維持ミッションや武装解除に関わってきた、東京外語大教授の伊勢崎賢治氏だ。
前編(専門家が指摘!「南スーダンにいる自衛隊が戦争に巻き込まれかねない」)に続き、伊勢崎氏に現在、日本の自衛隊が南スーダンでどのような状況下にあるのか語ってもらった。
「住民保護のためには積極的な武力行使も辞さない…という“現代のPKO”は国際法上の『交戦権』が支配する世界。そもそも、憲法上『交戦主体』になれない自衛隊をそこに送り込むべきではなかったのです。ところが、その問題を自民党政権だけでなく、かつての民主党政権や国民も平然と無視してきた…つまり憲法9条違反は今に始まったことじゃないんです!」
今後、南スーダンの状況がさらに悪化し、再び本格的な「内戦状態」に陥った場合、日本は、そして自衛隊はどうしたらいいのだろうか?
第一の選択肢は即時撤退させることだろう。日本のPKO参加の第一条件である「停戦合意」が破られている以上、「自衛隊を派遣できない」のはある意味、当然だ。しかも、「PKO参加5原則」ではこの条件が満たされない場合「我が国から参加した部隊は撤収することができること」と定められている。だが、この状況で南スーダンから撤退させることは「外交上、不可能だ」と伊勢崎氏は言う。
「今、自衛隊が撤退したら『保護すべき現地住民を見放した無責任な行為』と解釈され、国際人道主義を敵に回すことになる。その場合、日本は国際社会から卑怯な国との烙印を押されかねません」。
第2の選択肢は「憲法9条」を改正して自衛隊の「交戦権」を認め、国際法上の「交戦主体」となることができる組織、つまり“戦争のできる軍隊”にすることだろう。だが、当然、これも簡単ではないし、仮に将来、そうした改憲が実現するとしても相当の時間が必要で、少なくとも南スーダンに派遣されている自衛隊の現状に対応するのは不可能だ。