HOME > レビュー > スピード感とダイナミクスで抜群の完成度を誇る、ヤマハ入魂のフラッグシップスピーカー「NS-5000」【前編】
2016年8月22日/小原由夫・HiVi編集部
[HiVi 8月号レビュー]ヤマハ スピーカー NS-5000
この形、型番を見て、ヤマハ往年の名スピーカーを思い起こした方は、かなりのキャリアと推察する。大型ブックシェルフ方式、30cmウーファーをべースとした3ウェイ......。そう、本機NS-5000は、かつてのヤマハの象徴NS-1000Mを現代に蘇らせるべく開発されたのだ。
NS-1000Mは、中高域にベリリウム振動板を採用していたことが最大の特徴であったが、本機はそれに代わり、ベリリウムに匹敵する音速(伝搬速度)を持つ化学繊維「ザイロン」を3ウェイすべてのユニットに採用していることがキーポイント。
強度と弾性率において、振動板として理想的な物性値を有しているザイロンだが、そこにヤマハ独自のモネル合金蒸着コーティングを施し、固有共振を巧みに吸収、分散させた。
また、3ウェイすべてのユニットを同一素材としたことで、全帯域に渡って音色/音速を統一することができている。
もうひとつの特徴は、ミッドレンジとトゥイーターのドライバーユニットの後ろに、振動板背面で発生する不要な管共鳴を抑制する独自の新開発のバックチャンバーを搭載していることだ。
エンクロージャーには、北海道産の白樺の積層合板を採用。バッフル面は29.5mm、その他の5面を20mm厚とし、剛性を確保している。それを同社伝統の総三方留めによる強固な組立工法によって完成させた。
さらに内部の定在波を特定の周波数に集中させて効率よく打ち消す共鳴管(アコースティックアブソーバー)を仕込むことで、吸音材を必要最小限に止めることができたのも見逃せない。
表面塗装はピアノフィニッシュ仕上げ。同社のグランドピアノと同じ専用塗料が使われている。また、クロスオーバーネットワーク回路には、定評のあるパーツを内外メーカーから選りすぐって採用している。
さらに、本機にはスパイクでの微妙な高さ調整が可能な専用スタンドSPS-5000がオプションで用意されている。4本脚には堅牢な無垢アルミ材を採用し、曲面形状とするなど音響的な工夫も凝らされている。今回の試聴はこの専用スタンドを用いて行なった。
<後編につづく>
◆関連記事
>>ヤマハ本格ハイファイスピーカー、NS-5000を2016年7月に発売。新たな概念の技術と素材に挑戦
>>「次の世代に手渡していける音」 ヤマハがNS-5000"最終"の音を、本日マスコミ向けにお披露目
....................................................................................................
SPEAKER SYSTEM
YAMAHA NS-5000
¥1,500,000(ペア、税別)
●型式:3ウェイ3スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:30mmドーム型トゥイーター、80mmドーム型ミッドレンジ、300mmコーン型ウーファー
●クロスオーバー周波数:750Hz、4.5kHz
●出力音圧レベル:88dB/2.83V/m
●インピーダンス:6Ω
●寸法/質量:W395×H690×D381mm/35kg(本体のみ)
●備考:写真の専用スタンドSPS-5000は別売り(¥150,000ペア+税)
【問合せ先】
ヤマハミュージックジャパン
カスタマーサポート部 お客様コミュニケーションセンター
オーディオ・ビジュアル機器ご相談窓口
電話番号:0570-011-808
>>ヤマハのホームページ
....................................................................................................
唐木志延夫氏設計 ルンダール製トランス採用、バランス接続に対応するMC昇圧トランス
是枝重治氏設計 往年のアメリカ製ラジオが持つ愛らしさを形にした管球式プリアンプ
アナログ盤本来のサウンドを享受するための注目アクセサリー