クリントン陣営の地上戦戦略、サンダース支持者から協力得られず

クリントン陣営のトレーニング(1)


海野素央 (うんの・もとお)  明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

海野素央のアイ・ラブ・USA

コミュニケーションの専門家が、大統領選挙活動を中心にアメリカの動向を報告するほか、インターナショナルな場面でのコミュニケーションのあり方を説く。

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現地レポートの1回目は、「クリントン陣営のトレーニング」です。

 現在、研究の一環として激戦州バージニア州北部フェアファックス市にあるクリントン陣営に入り、戸別訪問、電話による支持要請及び有権者登録を行っています。これらの活動を実施する前に、クリントン陣営ではボランティアの運動員を対象にトレーニングをしています。そこで、本稿では、クリントン陣営の戸別訪問のトレーニングを紹介します。

クリントン支持のボランティアの運動員(右が筆者@バージニア州フェアファックス)

激戦州バージニア州

 首都ワシントンに隣接する南部バージニア州は、人口が約833万人(2014年)で、その内8.8%がヒスパニック系です。民主党全国党大会で指名を獲得した前国務長官のヒラリー・クリントン候補は、激戦州バージニア州選出のティム・ケイン上院議員を副大統領候補に起用し、同州の獲得に強い意欲を示しています。

 08年及び12年米大統領選挙においてバージニア州では、北部、州都のリッチモンド市、南東バージニアビーチ市及びハンプトン市を抑えれば、たとえ他の地域を取られても勝利できると言われていました。08年オバマ候補(当時)は、上の地域に焦点を当てて、44年振りに共和党から同州を奪還することに成功しました。12年の再選の選挙では、オバマ大統領は、特に人口が多い北部フェアファックス郡に力を注ぎました。ちなみに、フェアファックス郡の人口は、約113万人(2013年)まで増加しています。

 投票日が近づくと、オバマ大統領はフェアファックス郡にあるジョージ・メイソン大学を2回訪問し、若者に投票を呼びかけたのです。結局、同大統領はミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事を3.9ポイント差で破りました。本選に入りクリントン陣営はバージニア州フェアファックスに選対を開き、12年のオバマ陣営と同様、同州北部で票を稼ごうとしています。

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海野素央(うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

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