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 電車内で女性に痴漢をしたとして、大阪府迷惑防止条例違反罪に問われた兵庫県の男性(26)に対し、大阪地裁堺支部(渡部市郎裁判官)が昨年8月、「痴漢の意図があったとは認定できない」として、無罪判決(求刑罰金40万円)を言い渡していたことがわかった。検察側は控訴を断念し、判決は確定した。

 男性は2014年12月4日朝、南海高野線堺東駅(堺市堺区)に停車中の電車内で、当時20代の女性の下半身を触ったとして痴漢を捜査していた警察官に現行犯逮捕された。男性は逮捕後、「車内は満員で、手のひらが触れたが痴漢ではない」と無罪を主張していた。

 昨年8月18日付の判決によると、女性は痴漢被害を大阪府警に相談しており、堺東駅で降りようとした際、警戒中の捜査員に「痴漢をされた」と申告。捜査員もその現場を目撃していたこともあり、男性は現行犯逮捕された。渡部裁判官は「手の接触は女性のコートの上からで、ごく短時間。席に座ろうとして乗客をかき分けて動いたという男性の行動は不自然ではない」と結論づけた。

 弁護人の藤野恵介弁護士は「警察官による現行犯逮捕で無罪判決は珍しい。手が接触して1~2秒で逮捕しているが、故意かどうか、もう少し見てから判断すべきだったのではないか」と話している。

 府警生活安全総務課は「裁判所の判断なのでコメントする立場にない」とした。