それはまた極限に生きる命のたくましさとその無限の可能性を教えてくれるのです。
・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」
(鞠子)ただいま帰りました。
(君子)お帰りなさい。
回想
(水田)鞠子さん。
僕と結婚して下さいませ!少し考えさせてもらってもいいですか?
プロポーズから2週間がたっても鞠子は答えを出せずにいました
(常子)鞠ちゃん。
水田さんに聞いたわ。
結婚を申し込んだって。
迷ってるの?今結婚する事はできないって思ったの。
まだ何もできてないから。
今こうして出版の仕事をして文章を書く場を与えられるようになっても力にもなれてないし…。
今までずっととと姉のお荷物になってるだけだわ。
そんな事ないわ。
鞠ちゃんの協力があったからこそあなたの暮し出版はここまで来られたのよ。
私はもっと役に立ちたいの。
あの時東堂先生と「青鞜」に出会って他に頼って生きる月ではなく太陽みたいに自ら輝きたいって思ったの。
でもどうすればいいのか分からないの。
はっきりした答えが出せない限り水田さんに失礼だから。
(花山)どういう事だ!
(島倉)それが横沢先生がほかの原稿の締め切りが急に早まったのでうちのは断りたいとの事で。
もういい!時間もありませんしほかの作家さんあたってみましょう。
(美子)あ〜でも著名な作家さんにはほとんど声をかけてお忙しいからと…。
みんな頭を働かせろ。
うちに執筆していない話題になる作家はいないか?え〜…。
平塚らいてう先生にお願いするのはいかがでしょうか。
誰もが知っている有名作家ですし何より平塚らいてうの言葉を待っている女性はたくさんいると思うんです。
確かに平塚らいてうの原稿を掲載できたら光栄な事だな。
ええ。
だがそう簡単に事は進まんぞ。
平塚先生は信頼している編集者としか仕事をしないらしい。
編集者のもとに足を運び熱意を見せてようやく話を聞いてくれるかどうか。
…だろうな。
そして翌日
お願いします若松さん。
是非うちの雑誌の読者にも平塚先生のお言葉で力を与えて頂けないかと。
電話でも言っただろう。
新規の依頼は受けてないんだ。
では平塚先生のお住まいを教えて頂けませんか?直接お願いに上がります。
何を言ってるんだ君は!仕事の依頼は私に一任されてるんだよ!…ったく。
水田さん。
鞠ちゃんなら大丈夫ですよ。
(水田)あ…はい。
それからも連日のように鞠子は若松のもとを訪ねました
もう勘弁してくれよ。
(若松)この雨の中ずっと待ってたのか。
お願いします!お話だけでもさせて頂けませんか?話だけは通しておく。
それでいいだろう?本当ですか?こっちへ上がんなさい。
・はいあなたの暮し出版です。
はい…はいありがとうございます。
鞠ちゃん。
はい。
今すぐ出られる?大丈夫だけど…。
もしかして…。
平塚先生が会って下さるって。
(水田)えっ。
本当!?
(緑)すごいじゃないですか。
(扇田)鞠子さんが粘ったかいがありましたね!
(島倉)うちの雑誌に平塚らいてうが載るのか…。
それはちょっとまだ分からないんです。
直接会って依頼の詳細を聞きたいって…。
ご安心下さい皆さん。
必ず平塚先生を説得してまいります。
(緑)頑張って。
お願いしますよ。
行ってまいります。
(一同)行ってらっしゃい!こちらは…。
はい。
平塚先生…でいらっしゃいますね…?そうですが。
私が「青鞜」を読んで感銘を受けたように先生が語りかけて下さるひと言ひと言を私たちの読者の方々にも届けたいと思っております。
どうか私たちの雑誌に寄稿して頂けないでしょうか?お願い致します!執筆致しますよ。
私の方こそ是非寄稿させて頂きたいと思ったの。
若松さんにはそうお伝えしたはずなんだけど…。
そうだったのですか…。
それで題材はどんなものがいいかしら?女性が堂々と社会進出を果たせるような勇気を持てるようなお言葉を執筆して頂けないでしょうか?それはどうかしら。
そんな文章はあなた方の雑誌にはふさわしくないのではなくって?私が読者ならこの雑誌にそんな言葉は求めないわ。
私がずっと書きたいと思っていた事があるのだけど…。
はい。
夏に食べたくなるお汁粉の作り方とそれにまつわる随筆はどうかしら。
お汁粉…?もう少し前ならあなたの提案に乗っていたでしょうね。
でも…戦争があった事で私も大きく変わったの。
女性の問題も大切だけれど何よりも平和が一番。
甘いお汁粉で幸せになれるような平和な日常があってこそ女性が権利を主張できるのではないかしら。
私もね考えが変わったの。
考えが…変わった…。
考えは変わるものなのよ。
それにそれってとてもよい事なのよ。
らいてうの言葉は鞠子の心に強く響きました。
それから数週間後
いかがでしょうか…?すばらしい!胡麻のお汁粉という題材がいい。
読者の求めているものをよく理解しておられる。
平塚らいてうにこの原稿を書かせた事もすばらしいじゃないか。
よくやった!ありがとうございます!すごい!よかったね。
平塚らいてうの原稿だぞ!ありがとうございます。
読みたいです。
すみませんでした。
ずっと。
いえ。
水田さん。
私を…水田さんのお嫁さんにして下さい。
結婚の申し出謹んでお受け致します。
水田さん?本当にいいんですか?鞠子さんは働き続ける事が望みなのではないかと。
確かにとてもうれしかったです。
でもそれは「これでようやく水田さんと一緒になれる」という思いからです。
水田さん。
私…太陽のようになれるものをようやく見つけられました。
それは…水田さんの妻です。
鞠子さん。
僕と結婚して下さい。
はい。
ふつつか者ですがよろしくお願いします。
鞠子さん…。
お母様。
常子さん。
美子さん。
鞠子さんを…僕に下さい!
(君子)あなたがお返事してちょうだい。
鞠子を…よろしくお願い致します!よろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
ありがとうとと姉。
かか。
よっちゃん。
はぁ…きれいだろうなあ。
まり姉ちゃんの文金高島田。
立派な式にしましょうね。
はい。
はい。
結婚のご報告ですか?ええ。
ととにも見せたかったなあ。
鞠ちゃんの幸せそうな顔。
好きな方に結婚を申し込まれる事ほど幸せな事はありませんものね。
かか。
私に結婚してほしいですか?あっ…何?急に。
結婚して巣立っていくのを見届けるまでかかも安心できませんか?すてきな方と出会って幸せに暮らしてほしいとは思っているわ。
でもねあなたを見ていると幸せの形は一つではないのかなと思うわ。
結婚しなくてもあなたは十分に一人前です。
それは確かよ。
「あなたの暮し」第12号はらいてうの記事が評判となり10万部の売り上げを記録しました。
そして鞠子の独身最後の日
(緑)水田さん。
はい。
ここの数字ゼロが1つ足りなくありませんか?えっ?あっすみません。
すぐ書き直します。
これで3度目ですよ。
早くも緊張してるんですか?結婚式明日ですよ。
別にそういう訳じゃ…。
ハハハハ。
もうしっかりして下さいよ。
何を見つめ合っているんだ。
(2人)すみません!常子さん鞠子さん美子さんそこに並びなさい。
え?鞠子さんの最後の日だから三人の写真を撮る。
表情が硬い。
笑って!はあ…。
水田踊れ!
(水田)踊る?かぶってるよ。
あっすいません!おおいいぞ。
そのままでいいぞ!見て!はい。
(シャッター音)はい!撮れました?よ〜し撮った。
もう一枚いくぞ。
はい。
今まで本当にお世話になりました。
鞠ちゃん。
幸せにね。
幸せにね。
はい。
うん。
とと。
私は明日お嫁に行きます。
水田さんはとても優しくて誠実な方なので心配しないで下さい。
けど…結婚するのまだちょっと悩んでます。
えっ?何で?だって私水田さんと結婚したら水田鞠子よ。
「みずたまり」。
えっ…。
フフフフ!
こうして鞠子は小橋家から巣立ち水田との結婚式を迎えるのでした
(歓声)きれい〜!おめでとう!
(君子)皆様本当にありがとうございます。
(一同)おめでとうございます。
行ってらっしゃい。
(宗吉)正平君鞠子さんおめでとう。
乾杯!
(一同)乾杯!
(拍手)
(宗吉)え〜宴もたけなわではございますがこの辺りで新郎新婦の上司にあたります花山伊佐次様よりお祝いのお言葉を賜りたく思います。
(拍手)え〜結婚は二つの国を一つにするようなものです。
それをまとめるには毎日の食事みそ汁が大きな役割を担っています。
え?互いに育ってきた環境を尊重し理解し合わなければ2人にとっておいしいみそ汁を完成させる事はできません。
それが完成する時には思いやりに満ちた幸せな家庭が出来上がっている事でしょう。
おめでとう。
お幸せに。
(拍手)あの人は立派な人ずら。
すてきなお話だったわねえ。
はい。
常子?言われました…。
(君子)えっ?私が言おうとしていた言葉。
(2人)えっ?似てる…。
ほぼほぼ同じ…。
(宗吉)では続きまして新婦の姉小橋常子よりご挨拶させて頂きます。
頑張れ。
大丈夫。
はい!
(拍手)ご紹介にあずかりました鞠子の姉の小橋常子と申します。
あぁ…もうやっぱり駄目ですね私。
どこか間が悪いというか失敗も多くて…。
でもそんな時私の隣にはいつも鞠子がいたんです。
私は父代わりとしてずっと家族を支えてきたつもりでいましたが本当はそうじゃありません。
いつも支えてもらっていたのは私なのだと鞠子が嫁ぐ事になって初めて気付く事ができました。
きっと水田さんはこれから誰よりも幸せになる事でしょう。
鞠子をお嫁さんにもらってよかったなと心から思える事が数え切れないほどあるはずです。
それほどすてきな女性です。
だからお願いです。
私の大事な妹を幸せにしてやって下さい。
お願いします!僕は鞠子さんを一生かけて幸せにします。
(拍手)ありがとう。
とと姉。
・「普段から」2016/08/21(日) 17:20〜17:40
NHK総合1・神戸
とと姉ちゃん 一週間 第19週「鞠子、平塚らいてうに会う」[字]
平塚らいてう(真野響子)に原稿を依頼することになり心酔していた鞠子(相楽樹)は直接会うことに。そして水田(伊藤淳史)との結婚を決意した鞠子に常子(高畑充希)は…
詳細情報
番組内容
鞠子(相楽樹)は水田(伊藤淳史)との結婚を迷っていた。そんな折「あなたの暮し」では平塚らいてう(真野響子)に原稿を依頼することに。女学生のころから心酔していた鞠子は、しぶる編集者のもとに日参し、ついにらいてうに直接会う。らいてうは快く執筆を引き受けるが、内容は意外なものだった。ようやく自らの幸福を水田との結婚に見いだした鞠子。常子(高畑充希)、君子(木村多江)、美子(杉咲花)は万感の思いで送り出す
出演者
【出演】高畑充希,木村多江,相楽樹,杉咲花,唐沢寿明,伊藤淳史,真野響子,ピエール瀧,平岩紙
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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