福田内閣(2007〜2008年)で防衛相を務めた自民党の石破茂氏が、8月19日のブログ記事で映画「シン・ゴジラ」について言及。「なぜゴジラの襲来に対して自衛隊に防衛出動が下令されるのか、どうにも理解ができませんでした」と、同作のシナリオに異論を唱えています。
作中ではゴジラ撃退のために自衛隊を出動させるうえで、その法的根拠が議論されるシーンがありました。自衛隊の出動形態は自衛隊法第6章「自衛隊の行動」に規定。主に「災害派遣」「治安出動」「防衛出動」の3種類があり、それぞれ以下のように自衛官の権限が定められています。
戦車や戦闘機といったゴジラに対抗しうる装備を使用できる形態は、防衛出動のみ。作中の政府は、ゴジラの脅威に対する「超法規的措置」として、戦後初となる防衛出動を決定しています。
このシナリオに対し、石破氏は「いくらゴジラが圧倒的な破壊力を有していても、あくまで天変地異的な現象」と指摘。自衛隊法に規定された「国または国に準ずる組織による我が国に対する急迫不正の武力攻撃」ではないとし、「害獣駆除として災害派遣で対処するのが法的には妥当」と述べています。
単に映画を否定するのではなく、「災害派遣では武器の使用も武力の行使も出来ない」といった反論があることや、「治安出動ではどうなのか」と別の可能性も示した石破氏。映画で描かれた自衛隊出動の是非について、元防衛相が考察したことには興味深いものがあります。
(沓澤真二)
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