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東京五輪開会式で「人工流れ星」を

いい意味でぶっ飛んだ日本発ベンチャー

2016年8月23日(火)

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 第31回オリンピック競技会リオデジャネイロ大会が閉幕し、次回の開催地である東京にバトンが引き継がれた。(ここでもやはり緑色の)着物をまとった小池百合子都知事が五輪旗を受け取るのを見ながら、あるベンチャー企業のことを思い出した。ALE(東京港区)という設立5年目の企業。同社CEO(最高経営責任者)の岡島礼奈氏とは半年ほど前、とある勉強会で知り合った。

 「そんな無茶な…」

 これが、ALEが取り組む開発内容を聞いた時の記者の第一印象だった。同社が取り組んでいるのは、任意の場所と時間に人工流れ星を夜空に出現させるというもの。本当に実現すれば、例えば、男性が女性に結婚を申し込むような時(今時は逆もあるかもしれない)、2人が空を見上げると流れ星が流れる――なんてことが可能になる。

人工流れ星の実現を目指すベンチャー企業、ALEの岡島礼奈CEO(写真:栗原克己)

 まるで夢物語のようだが、岡島氏はいたって本気だ。2018年中の実用化を予定しており、そのために必要な要素技術の開発も、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や複数の大学教員の協力を得ながら着実に進めているという。「2018年ということは、東京オリンピックの開会式で披露することも視野に入れている?」と聞くと、「具体的な話はまだないが、そうなっても対応できるよう準備を進めている」(岡島氏)という。

 「それ、すごくいい!本当に実現したらいいのに」

 岡島氏の話を聞くうちに、記者の印象はどんどん変わっていった。

日本の知を結集した「オールスターズ」

 このままだとあまりに無謀な取り組みのように聞こえるので、もう少し現実的な内容を見ていきたい。まずどうやって流れ星を作り出すのか。

 ご存じの通り、流れ星は隕石のかけらなどが地球の大気圏に突入して燃えることによって現れる。ALEの仕組みもこれと同じ。ただし隕石を作ることはできないので、隕石の代わりになるビー玉(直径1~2cm)くらいの粒を数百個、約50cm角の小型人工衛星に載せて打ち上げる。目指すは高度500kmの太陽同期軌道(南極と北極を結ぶ軌道)だ。この軌道に衛星を乗せれば、地球は自転しているので基本的に全世界をカバーできる(場所と時間は衛星の周期によって決まる)。あとは、周期に合わせた範囲内で、流れ星を流したい場所と時間に大気圏に突入するよう計算した上で、粒を衛星から放出する。

 と、言うのは簡単だが実現するのはかなり難しい。「例えば、東京の空に人工流れ星を流そうとすると、人工衛星が南極の上空を通過するタイミングで放出しなければならない。この時に高い精度が求められる。方向を1度でも間違えると九州や北海道の上空で発生してしまう」(岡島氏)という。

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「東京五輪開会式で「人工流れ星」を」の著者

池松 由香

池松 由香(いけまつ・ゆか)

日経ビジネス記者

北米毎日新聞社(米国サンフランシスコ)で5年間、記者を務めた後、帰国。日経E-BIZ、日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)、日経ものづくりの記者を経て、2014年10月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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