マヤ文明の凄い技術!コペルニクスを超え天文観察術に疑問!?

マヤ文明といえば、ふしぎ系の人の大好物。そんなマヤ文明で新たな研究結果が発表されたのです。もともと高度な天体観測技術をもっていると言われていたマヤ文明のその技術の真髄をお伝えいたします。


マヤ文明のカレンダーの再発見


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こちらがマヤ文明の暦(マヤカレンダー)を知るきっかけとなったドレスデン絵文書(ドレスデンコデックス)です。このドレスデン絵文書が作られたのは約800年前、そしてスペイン人がマヤ地域、現在のメキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ベリーズへ訪れた16世紀以後にヨーロッパに持ち帰ったものと言われています。


それから数百年後の1900年前後にドイツ・ドレスデンの図書館司書エルンスト・フォルステマンによってカレンダーが書かれているという事がやっと分かったのです!図書館の人すごいです。
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(wikipedia)


よく間違える話


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http://www.mna.inah.gob.mx/coleccion/pieza-243/ficha-basica.html
ちなみに「信じるか信じないかはあなた次第です。」なんて言っている都市伝説系などの番組では、こちらがマヤカレンダーだと紹介されますが、全然違いますから。あれアステカの世界を表した太陽の石ですから!残念!!
※マヤ文明とアステカは地理的にも近いですが、別の文化だと考えてください。


マヤの天文学の凄さを再確認する最新の研究


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カリフォルニア大学サンタバーバラのアルダナ氏は、ドレスデンコデックスの金星の動きを記述したページから従来のマヤカレンダーに関する考え方に疑問を投げかけました。

従来の考え方では、マヤカレンダーを数秘術(numerology)によるものと捉えている為、カレンダー自体の重要さを見落としているというのです。それはカレンダーが占いや儀式の為に使用されているものと考えられていたようです。
※数秘術とは、姓名判断や生年月日などから計算式によって占いを行う術を指します。

またマヤカレンダーは正確なものとして位置づけられています。実際にマヤカレンダーはかなりの精度ですが、閏年やうるう秒のように微妙な誤差が生じています。これは当時のマヤ人も理解していたであろう記録が残っています。

この2点から導きされる疑問は、
儀式はカレンダーを基準にしていては成り立たない!
というものです。
この点に、アルダナ氏は疑問を投げかけたのです。


重要なのはマヤ天文学としての記録


コペルニクスがヨーロッパで、同じように天文観測により地動説を考えたように、マヤではそれよりも優れたことがもっと早い時代から行われていたのです。

先ほどの「儀式はカレンダーを基準にしていては成り立たない!」という点について、カリフォルニア大学サンタバーバラのアルダナ氏は、マヤ文明では天文観測による修正が行われていたと推測しています。

実際にマヤでは天文台が確認されるなど、天文への関心はかなりのものです。しかし数秘術的なカレンダーを軸に儀式をしては重要な天体の位置がずれてしまいます。

例えば有名なメキシコの遺跡「チェチェンイツァー」では、春分秋分にピラミッドに蛇の影が映る仕組みがあります。これは正確な日付がなせる業ですが、カレンダーにずれがあっては成り立ちません。
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http://travel.nationalgeographic.com/travel/world-heritage/chichen-itza/



重要な事はなんであるのか?


天体が自分たちの望む位置にあるときに儀式を行う。そのためにはカレンダーはあくまでも目安であり、実際には天体観測を重視したのであろうという新たな考えです。

そして、マヤ絵文書に記録されてる数値などは、実際に観測されたものを記録していると逆説的にできるのです。当然そこには受け継がれる伝統から生まれる計算も含まれます。しかし重要なのは日付ではなく、天体の位置なのです。

カレンダーは数秘術的な産物ではなく、あくまでもコペルニクスを上回る観測技術の記録の結果がドレスデンコデックスなどに残されているとと、アルダナ氏は主張しています。


思い込みはおそろしい


マヤ文明の暦は正確です。他の文明と比較してもかなりの正確さがあります。だからといってマヤの人々が、その正確なカレンダーを絶対的なものとして使用していたかどうかというのはわかりません。そして数秘術として儀式の重要なものであったと言い切れないのです。

そして実際に重要な事は、儀式に必要となる惑星(ここでは金星)の位置です。

カレンダーが正確であり、数秘術的に重要なので、カレンダー中心の儀式であるというのは固定観念です。

今回の研究では、そのような思い込みを注意してくれるものだと言えます。
そして、マヤ文明は誤差が見過ごすような不正確な文明ではなく、正確な天文学を確立し記録したコペルニクスに勝る技術を持っていた文明であるとドレスデンコデックスの記録から改めて言えるでしょう。1250年前後の絵文書ですが、考古学的な遺跡や遺物を見ると、その天文学の歴史はさらに何百年、千年とさかのぼれるものだと言えます。

今回の研究結果も推測ですし、そして付け加えるならば考古学者もカレンダー中心だと思っていない人も多いような気もしますので、今後新たな発見がされマヤ文明の技術がさらに分かることにワクワクします。


そして今回の提言のように、固定観念・思い込みは恐ろしいです。普段の生活でも一つの考え方でのみ物事をとらえがちです。自分が正しくない前提で入ればまた見方も変わってくるかもしれませんね。
今度はまた違った考古学ニュースもお届けできればと思います!でわでわ

(via: http://www.news.ucsb.edu/2016/017062/mayan-moment

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