一億総活躍社会を切り開く鍵は「働き方改革」
政府は8月2日に、新たな経済対策「未来への投資を実現する経済対策」を閣議決定した。そして、経済対策の多岐にわたるメニューの1つとして「働き方改革の推進」を掲げた上で、以下のような文言を盛り込んだ。
「一億総活躍社会を切り開く鍵は、多様な働き方を可能とする社会への変革であり、最大のチャレンジは、働き方改革である。そのため、同一労働同一賃金の実現、長時間労働の是正、労働制度の改革を進め、我が国から非正規という言葉を無くす決意で臨む」
だが、会社員などの関心が高いとみられる「長時間労働の是正」に関しては、いわゆる36(サブロク)協定(※注)における時間外労働規制の再検討を開始すると書かれているだけである。6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」で「観光先進国の実現」の部分で言及されていた、「企業における労使一体での年次有給休暇の取得向上や休暇取得の分散化等の休暇改革の推進」は、今回の対策では具体的に展開されなかった。
※注 労働基準法は、休憩時間を除いて1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて働かせてはいけないと定めているが、時間外労働に関する労使協定(36協定)を結べば、月45時間、年間360時間の残業が認められ、特別条項を付け加えればさらに長時間の残業が可能となる。なお、労基法36条にもとづく労使協定のため、一般に「36(サブロク)協定」と呼ばれる。
日本の有給休暇の取得率の低さは下から2番
諸外国と比べた場合に、日本では有給休暇の消化率(取得率)が極めて低いことは、よく知られている。国別比較でよく用いられる「Expedia有給休暇・国際比較調査」の2015年データを見ると、最下位はお隣の韓国(40%)で、日本は下から2番目(60%)である<■図1>。