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日本人の「有給休暇の消化率」が極めて低い理由

有給取得に「罪悪感」感じる割合は世界でダントツ

2016年8月23日(火)

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 政府は8月2日に閣議決定した事業規模約28兆円超の「未来への投資を実現する経済対策」に、「働き方改革」を盛り込んだ。政府はこれを「最大のチャレンジ」と表現し、構造改革の1番手に挙げた。今後は長時間労働に頼らずに成果を上げることが喫緊の課題となるが、現状では日本人の長時間労働の抑制はまったく進んでおらず、有給休暇取得率にも改善の兆しはない。今回は日本人が仕事を休めない事情について考えてみる。
フランス人、スペイン人、イタリア人などには長期休暇を取ることが浸透している。しかし、日本人は仲間に迷惑がかかるために休むことをためらう傾向があるようだ

一億総活躍社会を切り開く鍵は「働き方改革」

 政府は8月2日に、新たな経済対策「未来への投資を実現する経済対策」を閣議決定した。そして、経済対策の多岐にわたるメニューの1つとして「働き方改革の推進」を掲げた上で、以下のような文言を盛り込んだ。

 「一億総活躍社会を切り開く鍵は、多様な働き方を可能とする社会への変革であり、最大のチャレンジは、働き方改革である。そのため、同一労働同一賃金の実現、長時間労働の是正、労働制度の改革を進め、我が国から非正規という言葉を無くす決意で臨む」

 だが、会社員などの関心が高いとみられる「長時間労働の是正」に関しては、いわゆる36(サブロク)協定(※注)における時間外労働規制の再検討を開始すると書かれているだけである。6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」で「観光先進国の実現」の部分で言及されていた、「企業における労使一体での年次有給休暇の取得向上や休暇取得の分散化等の休暇改革の推進」は、今回の対策では具体的に展開されなかった。

※注 労働基準法は、休憩時間を除いて1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて働かせてはいけないと定めているが、時間外労働に関する労使協定(36協定)を結べば、月45時間、年間360時間の残業が認められ、特別条項を付け加えればさらに長時間の残業が可能となる。なお、労基法36条にもとづく労使協定のため、一般に「36(サブロク)協定」と呼ばれる。

日本の有給休暇の取得率の低さは下から2番

 諸外国と比べた場合に、日本では有給休暇の消化率(取得率)が極めて低いことは、よく知られている。国別比較でよく用いられる「Expedia有給休暇・国際比較調査」の2015年データを見ると、最下位はお隣の韓国(40%)で、日本は下から2番目(60%)である<■図1>

■図1:有給休暇の国別消化率
(出所)Expedia有給休暇・国際比較調査2015

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「日本人の「有給休暇の消化率」が極めて低い理由」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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