第98回全国高校野球選手権は栃木代表・作新学園の54年ぶりの優勝で幕を閉じました。例年以上に盛り上がった今大会でしたが、同時に甲子園の改革を望む声も多く挙がっています。そんななか、元メジャーリーガーで、甲子園も東洋大姫路高(兵庫)の球児として春夏で3回の出場経験がある長谷川滋利さんが、前回に続いて「甲子園のええこと、悪いこと」を語ってくれました。
甲子園は、記憶から消える
今年もアメリカからテレビで甲子園を何試合か観ましたが、相変わらずマウンドは暑そうで、スタンドは熱くて「ああ、懐かしいなあ。甲子園はええなあ」と感慨深かったですね。
ただ、実は3年の夏の初戦、その時の投球に関しての詳細な記憶がないんです。「たくさんお客さん入っとるなあ」とか「これが銀傘か。でっかいなあ」とか、そういう漠然とした思い出はありますが、肝心の自分のピッチングは5回くらいまで一切、覚えていない。
中学時代のチームで日本一になったときのゲームも、プロ初先発のときも、メジャー初登板も、メジャーのオールスターも、自分の配球はほとんど言えるくらい記憶に残っているんですが、野球人生であんなことは最初で最後ですね。
あとから誰かが撮ってくれた映像で「ああ、オレ、こんなんだったんや。あ、ホームラン打たれとるやんけ。何しとんねん…」と他人事のように確認しましたが、それを見てもまだ思い出せなかったくらい、
極度に緊張してたんですね。石川県代表の学法石川高校との対戦だったのですが、一応、完投勝利をしていたようです。本当に勝って良かったなあ、と今でも思います。
でも、そんな経験を10代でできるのは素晴らしいことで、選手の将来から考えると、甲子園の最大のメリットはそこにあるかもしれません。
学生スポーツながら5万人近い観客の歓声と視線にさらされるような舞台を踏むことは、世界中を見渡しても僕は他に知りません。その経験はプロに進んでも間違いなく活きてきます。僕自身も「大事な場面だけど、甲子園に比べれば緊張せえへんな」という気持ちになって、救われたことも何度もあります。
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