北京のランダム・ウォーカー

中国「尖閣襲来」より五輪が話題!? 日本の「平和ボケ」ここに極まる

もはや「挑発」ではない

2016年08月23日(火) 近藤 大介
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〔PHOTO〕gettyimages

リオ五輪に一喜一憂した2週間

8月上旬から中旬にかけて、中国を回っていて、2週間ぶりに帰国してみると、日本はオリンピックのメダルラッシュに沸いていた。

というより話題はそれ一色。NHKのニュースをつけると、頭から約30分間も、アナウンサーが顔を火照らせながら、オリンピックの日本人選手たちの健闘ぶりを称えているではないか。

オリンピックを否定するつもりは毛頭ない。私だって日本人選手たちの活躍ぶりには感動を覚える者の一人だ。だがオリンピックの最中にも、世界では戦争も起こっていれば、経済マーケットも変動しているのだ。

北京でも、中国選手の活躍ぶりは連日、報道されていたが、それはあくまでもニュースの「ごく一部」であって、大部分は通常と同様、国内外の情勢を伝えていた。オリンピックをとことん見たい人は、中国中央テレビの5チャンネル(スポーツ専用チャンネル)で見てくださいというわけだ。

世界は24時間365日、休むことがないというのに、日本では「オリンピック以外」が排除されたかのように映った。もしかしたら、メディアのスポーツ担当以外の人たちが長い夏休みを取りたかったのかもしれないが、国民もすんなりと、そうした現実を受け入れている。

一言で言うと、日本は「平和ボケ」状態なのである。

中国が、8月5日から9日にかけて、尖閣諸島周辺に「船団」を繰り出し、日本が騒然となったことは、まだ記憶に新しい。だが、そうしたことすら「昔起こった地震」のようなもので、日本中がリオのオリンピックの日本人選手の動向に、一喜一憂した2週間だった。

Pokémon GOに浮かれ、オリンピックに浮かれる。日本のこうした現象は、野望を実現すべく虎視眈々と歩を進めている隣の大国にとっては、大変好ましいことなのである。

ちなみにPokémon GOに関しては、ある人が習近平主席に話したら、「何だ、それは?」と興味津々だったという。先月このコラムで記したように、中国はグーグル自体を禁止しているため、Pokémon GOはインストールできない(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49282)。

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