「ポケモンGO」で世界初となる「全制覇」を達成した猛者、ニック・ジョンソン氏がこのほど来日した。きっとゲームに何十万円とつぎこむ猛烈なオタクで、我々一般人とはかけ離れた考えの持ち主なんだろう――。
記者は勝手にそう考えていたが、記者会見ではその予想を裏切られることになる。話をしてみると至って普通の会社員なのだ。
プレーヤーという立場から、世界で最もポケモンGOを理解しているといってもいいだろうジョンソン氏は、ポケモンGO現象をどうとらえているのか。8月8日の記者会見と個別インタビューでのやりとりを、一問一答形式で再構成した。
*当連載は、日経ビジネス2016年8月22日号特集「世界を変えるポケモンGO これから起こる革新の本質」との連動企画です。
どうやってポケモン図鑑を完成させたのですか。
ジョンソン氏:会社帰りにマンハッタンやブルックリンを歩き回りました。アプリ開発会社に勤めており、僕がゲームの仕組みを理解すれば会社の利益にもなると考えたのです。会社も「頑張って捕まえてこい」と後押ししてくれた。プレーに費やしたのは1日6~8時間。毎日8マイル(約13km)は歩いたので、体重も10ポンド(約4.5kg)減りました。
ジョンソン氏:配信から約2週間後の7月21日、米国内に出現するポケモン142匹を全て制覇しました。その後、旅行サイトの「Expedia」やホテルチェーンの「Marriott」にスポンサーについてもらい、パリや香港、豪州を訪問。それぞれの地域限定ポケモンを捕まえて、世界初のポケモンマスターになれました。今回、旅の終着点としてポケモン発祥の地である日本を訪れることができ、本当に嬉しく思います。
ポケモンGOに費やした金額は。
ジョンソン氏:200ドル(約2万円)くらいだと思います。このうち半分は(レベルを上げやすくするアイテムの)「しあわせタマゴ」に使いました。(自分の周りにポケモンを出現しやすくする)「おこう」は、途中から買わなくなりました。公園などプレーヤーが集まる場所では、必ず誰かが(特定の場所にポケモンを出現しやすくする)「ルアーモジュール」を使っていたからです。