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聖火がしずかに消えて、リオデジャネイロ五輪が終わった。「多様性」のテー…
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聖火がしずかに消えて、リオデジャネイロ五輪が終わった。「多様性」のテーマのもとに集い、力を尽くした世界の選手に改めて拍手を送りたい。
南米で初となった今大会は開催国のブラジルだけでなく、南米全体に活力を与えた。
過去最多計41個のメダルを獲得した日本にとっても話題は多かった。大きなトラブルはなく大会は成功した。
今回は、ブラジル経済が急速に悪化する中で開かれた。大会組織委員会などは大幅に経費を削って臨まざるをえなかった。
次回2020年の五輪は東京で開かれる。開催費用の高騰が問題になっている東京は、リオ五輪の取り組みを参考にすべきだろう。
町を埋め尽くすような開催をアピールする飾りは、リオデジャネイロの市内にほとんどなかった。仮設会場や周辺の通路などは簡素なつくりだった。
五輪とパラリンピックの開会式と閉会式にかかる費用は、08年北京の20分の1、前回ロンドンの12分の1になるという。運営費と施設建設費の合計予算は、立候補当初の64億ドル(6400億円)から41億ドル(4100億円)へと削減した。
巨額の経費を理由に、冬季も含めて五輪の招致を断念する動きがある。国際オリンピック委員会は経費を抑えた持続可能な大会のあり方を模索し始めた。リオ五輪は、その課題に対する大きなヒントを与えた。
東京はリオ五輪の路線を継承し、最大限無駄を省いて、世界の多くの都市がめざせる新しい五輪の姿を示すべきだ。財政にも環境にもやさしい、エコ感覚に富んだ柔軟な開催モデルの実現は、世界に認められる開催理念にもなるだろう。
開催に向けては組織委と東京都、政府が一体となる必要がある。リオ五輪では五輪公共機関(APO)が設けられ、政府、州、市の間の調整にあたった。東京五輪でも、それぞれを横軸で調整する機関があれば準備がしやすくなるはずだ。
祝祭感覚で公の財布のひもがゆるみ、多額を費やしてモノを残すことよりも、人々の心に残る五輪を実現させたい。
ボランティアは国際感覚を養い、語学力を向上できる。数多く開かれる予定の文化行事に参加する人々は、経験しがたいような刺激を得るだろう。そして平等、尊敬といった五輪精神を共有する貴重な機会になる。
多くの市民がさまざまな形で参画し、学びあい、世界との絆を深める。東京五輪はそうした大会をめざしたい。
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