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韓国に竹島を「献上」した吉田茂の誤ったシグナル SEALDsも元首相の亡霊に取り憑かれ安保法反対遊びへ…
野口裕之の軍事情勢更新韓国の超党派国会議員団が、日本の朝鮮半島統治からの解放記念日に当たる8月15日の《光復節》に合わせ、竹島(島根県隠岐の島町)に不法上陸した。わが国にとり8月15日は《終戦記念日》だが、同日、日本では安全保障関連法反対を訴える若者グループ「SEALDs(シールズ)」が解散した。日本政府の抗議に「韓国の領土に行くのに無礼だ」と反論した韓国議員の無礼な発言と、SEALDsのメンバーのお気楽発言を聞き、ハバナ産葉巻の煙の向こうに、三つぞろいの背広や和装をスキなく着こなすシャレ者の姿がくっきりと浮かんだ。
内閣総理大臣 吉田茂
小欄は、日本国憲法改正→国軍保有の時機を完全に読み違えた吉田の責任は計り知れぬほど巨大だと思っているが、竹島もSEALDsもまた吉田が産み落とした負の遺産で、「吉田の亡霊」がいまなお取り憑いて離れない。なぜか? 竹島については今次小欄のテーマで後述するが、SEALDsには触れる価値を見いだせず、手短かに。
SEALDsが解散会見をした16日、中心メンバーの発言を聞き、失笑をこらえるのに苦労した。
「約1年半活動し、この社会で若者が政治的にイエス・ノーを言うことがこんなにも大変なのかと感じた」
会見の場におらず、質問もしていないので、中心メンバー氏の発言の真意は判然とせぬが、常識的にとらえれば「祖国の国体の有り難さ」に気付いていない。
何が「大変」なのか理解に苦しむ。SEALDsのデモは文字通りの「鳴り物入り」で、若者は楽しむ風であった。警察官は行き交う車より参加者を守っていた。
官憲・権力の援助を受ける「官民協力デモ」には笑ったが、「民主主義を否定する暴挙!」などと、民主主義の象徴的風景の中で非難しても響かない。「戦争したがる総理はいらない!」「アベは辞めろっ!」と、放言が許される日本社会に、参加者は感謝の念を抱かないようだ。中国の軍事膨張や北朝鮮の核開発に、目を閉ざしているのだからムベなるかな。
血の粛清を好む中国を敵に回す恐怖心と闘いながら決起した台湾や香港の若者は、この「お気楽デモ」を見たら仰天するに違いない。台湾の若者は2014年、貿易協定批准に反対し立法院を占拠した。協定で台中間経済が緊密化すると、台湾が中国に呑み込まれるとの危機感の発露だった。この《ひまわり学生運動》に香港の若者は触発された。行政長官選挙をめぐり、中国が民主派候補者が出馬できぬよう、規則を14年突如変更。大学生を核に抗議運動《雨傘革命》が起きた。
そもそもSEALDsは、「誰」が便宜供与したのか、国会内で記者会見を開いているではないか。こうした温室環境下での「約1年半の活動」で「大変なのかと感じた」のなら今後、政治活動はお止めになった方が良い。さらに意味不明なのは別のメンバー。
「市民の政治参加が当たり前の文化を創ろうと活動してきた」
オイオイ。それって《ひまわり学生運動》や《雨傘革命》に、まさに決死の覚悟で臨んだ若者のセリフだろ。メンバーの一人はこうも言った。
「敗戦とともに生まれた平和憲法の下で生まれ育ち、憲法の理念が私たちの活動の背中を押してくれた」
小欄も「平和憲法の下で生まれ育った」が、考え方は全く違う。「憲法の理念が私たちの足を引っ張りまくった」と確信している。
韓国の竹島実効支配も「憲法の理念」が誘発した。竹島にもSEALDs同様、吉田の亡霊が取り憑いているが、亡霊のまたの名を《吉田ドクトリン》という。